千野 隆司 「出世商人 五 完結編」
まだ17才の文吉の商人魂の物語。幼い時に両親を亡くし天涯孤独になり、親戚をたらいまわしされた文吉を、自分の息子として受け入れ育ててくれた義父母。義父が亡くなった事で艾(もぐさ)の商い店「三川屋」を盛り立てる文吉。内情の厳しい三川屋を智恵と度胸と真面目で真摯な商人として振り売りから表通りに店を構えるまでになるという出世の物語。・・・・・・・・・・・・8歳年上の「お邑(むらい)」と結婚し義母とお邑と小僧3人で店を切り盛りしながら常に前向きに、良い品を適正な価格で商売に励む姿が清々しいです。・・・・・・・・・・・・・真面目で素直だが、大胆な行動力と相反する思慮深さに、周りの仲間や人々が助けます。絵に描いたような出世ストーリーですが、千野さんの作品は殺陣シーンが必ずあって、力も技もない文吉が必死に抵抗し、相手に怯まず闘うシーンが魅力です。・・・・・・・・・・・・五巻で完結のこちらの作品。表通りに店を構えてからも一難去ってまた一難の大変さが待っているでしょう。そんな苦労を文吉や周りの人々の努力で乗り越えるお話を読みたかったなぁと思わせる名残り惜しい作品の一つとなりました。気持ちのよい読後感でした(^^)