アンソロジー 「家族」
藤原緋沙子さんの「雪よふれ」が良かった。・きつい姑(しゅうとめ)の意向により、婚家から追い出されて離縁させられた「おつや」。・亡くなった父親の一膳飯屋を幼馴染の「清七」と堅実に営んで暮らしていた。・「おつや」の胸には、心残りである一人息子の幸吉が何年たっても忘れられない・・・・ある日、おつやの友人である「おなか」が店を訪れ、離縁後の悲惨な婚家の様子を聞かされる。・「おつや」は元亭主の長屋を訪れ、あまりに侘びしく悲しい姿の元亭主に驚く。・一人息子幸吉は、姑から母親である「おつや」の悪口ばかり聞かされたので誤解しながら育った。・「おつや」は離縁したとは言え、姑も亡くなった事で、元亭主の世話をする・・・・雪が降った日に、幼い幸吉が「雪うさぎ」を作り、家族三人で微笑ましく楽しんだ日を思い出す「おつや」。・その日また雪が降り出す・・・・あの日のような家族としてやり直せるだろうか・・・・切に願いながら「おつや」が空を見ながら言う・・・・「雪よふれ」・・・