悪魔が来たりて笛を吹く
る~る~るるるぅ~~~~ る~る~るるるぅ~~~~~ 悪魔の子供は嬉しくてたまりません。 お友達が今までひとりもいなかったのです。 でも とうとう 気のあいそうな女の子がこの町に越してきました。 女の子の名前は しずか おにいちゃんといもうとの3人きょうだい。 この女の子に会う大人はみんな眉をひそめ 遊ぶ子供たちは泣き出し、動物たちさえ逃げ出すしまつです。 悪魔の子供はみていました。 fmfm 今日も大人の言うことを聞かない。 妹を泣かしてばかり。 おにぃちゃんとは 殴り合いの喧嘩かぁ。 いいぞいいぞ 悪魔の子供は側でけしかけました。 「ほら その水溜りにジャンプだぁ!」 側を通ったおばぁちゃんの着物はどろだらけ 「いいぞいいぞ!」 「むこうから来る そばやの出前のおにぃさんに この木の枝を投げつけろ!」 おにぃさんはよろけて 出前のそばはだいなし。 女の子は大人が困るのが嬉しくてたまらないのです。 叱られても、全然へいちゃら。だって ほんとに怖いのはパパだけなんですから。 ある日の夕方 とっくに夕焼けチャイムがなったのに 女の子は公園で遊んでいました。 何人かの子供たちも遊んでいました。 するとそこに、少年に姿を変えた悪魔の子供が、笛を吹きながらやってきました。 る~る~るるるぅ~~~ る~る~るるるぅ~~~ 子供たちはこの笛の音に誘われて 悪魔の子供の後をついて行きました。 悪魔の子供は得意そうに、なおも吹きつづけました。 そしてそのまま暗い森へと消えていったのです。 お菓子やくだものやチョコ。 子供たちの大好きなおもちゃが山ほどあります。 はじめのころ 子供たちは大喜びで遊んでいました。 女の子も 「これ全部 しずかのもの!!わぁ~~~ぃ」 妹やおにぃちゃんと 取り合うこともありません。 なにしろ 食べても食べてもなくなりません。 そのうち 誰かが 泣き出しました。 「ママァ~~~~~~ママァ~~~~~~~!!」 また違う子が泣き出しました。 「ママァ~~~~~~ママァ~~~~~~~!!」 女の子以外の子供たちが全員泣き出しました。 女の子もだんだん悲しくなってきました。 あのだいっきらいな ママやおにぃちゃんや妹がこいしくなったのです。 そして 思い出しました。 とっても小さい時 おばあちゃんが教えてくれたこと。 「しずかや 神様はきっといるんだよ。 ほんとに困った時 神様に御願いしてごらん。 きっと助けてくれる。」 ねぇ みんな 神様に御願いしよ! きっと神様がまた ママに合わせてくれるよ! 女の子は手を合わせてお祈りしました。 「パパやママ おにぃちゃんや妹に会えますように」 他の子供たちもお祈りしました。 するとどうでしよう。 家の灯りがポツリポツリとつき始めた公園に、子供たちは立っていたのです。 子供たちを心配した ママたちがお迎えに来ました。 女の子のママも見えます。 女の子は ママに抱きつき 甘えました。 その日から 女の子はほんとにいい子になりました。 家のお手伝いをよくします。 妹の手を引いてお買い物にも行きます。 それを見ていた悪魔の子供は 「ちぇ!!つまんね!!この町はダメだ!!次の町にいこ!!」