カテゴリ:読書
お待たせしました。なんとか、7月中に読みました。
小田雅久仁著『増大派に告ぐ』を読了しました。 ストーリーを、ごく簡単に説明すると、「ある男と14歳の少年を取り巻く、団地の悪夢」を描いた話です。 大まかに、話の内容を説明しますね。 ある男(住所不定・無職。作中では、はっきりと名前が出てきません)が、少年時代を過ごした団地に戻ってきたところから、話は始まります。 団地に住む少年・舜也は、第一発見者の弟と共に、その男を見に行きました。しかし、男が「おまえら、あいつらの仲間か!」と叫び、2人を追い払いました。 「あいつら」を、男は「増大派」と呼びます。「増大派」とは、いわば「この世界に、広く蔓延するエントロピー」です。 男は、自らを「減少派」と見なしています。数少ない、貴重な、世界の真実を知る者だと信じているのです。 男は、舜也を「減少派」だと思い、舜也もまた、男に興味を抱きました。 男と舜也は、次第に、交流を持つようになります。 けれども、2人の間には、決定的な亀裂が生じてしまいました。 最終的に、男は、舜也を「増大派」と判断し、罵りました。 ストーリーの紹介は、以上です。 ここから先は、「文学的な要素を考えず、お話として読んだ」感想だと、考えて下さい。 一読した感想は、「ここで、話が終わりなの?」でした。むしろ、話の内容としては、「これから始まる」という印象を受けたのです。 と言いますのも、男と舜也の思考を描くことに終始していて、ストーリーが、ほとんど進まなかったためです。「結局、それだけ?」と突っ込みたくなってしまいました。 男の思考パターンは、わりと分かりやすかったので、それほど困惑しませんでした。しかし、延々と同じような描写が続くため、読み続けるのが苦痛になってきました。 本文から察するに、男の過去と、舜也(及び家族)が繋がる可能性も考えられます。繋がるのか、繋がらないのか、よく分からないまま、結末を迎えたので、すっきりしませんでした。 どうやら、私の場合、純文学系の小説は、あまり楽しめないようです……。 次回は、紫野貴李著『前夜の航跡』の感想を書きます。来週の更新は、お休みして、再来週の、8月11日に更新する予定です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.07.28 12:55:58
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