日本経済新聞朝刊二面に「ポスト小泉 新春に聞く」と題したシリーズがあり、3回目の今日は外務大臣の麻生太郎氏へのインタビューが載っていた。どうしても取り上げたかったので、仕方なく自分で一文字ずつ入力。
追悼施設と「靖国」は別(ネット上のソースは無い模様)
Q.山崎拓氏や福田康夫氏らが靖国神社に代わる無宗教の国立追悼施設を建設する構想を提唱しています。
A.追悼施設ができたら靖国問題はなくなるのか。なくならないと思うけどな。なくなるというなら話は別だが、なくならないのに、しかも税金でつくるとなると、あまり意味がないような気がする。(有権者の)理解を得にくいのではないか。
Q.安倍晋三官房長官は北朝鮮の麻薬密売など不法行為に絡むマネーロンダリング(資金洗浄)対策を金融庁に指示しました。
A.別に深い意味があるとは思えない。基本的には「法律どおりに」と言っているわけで、マネーロンダリングというのは北朝鮮がやろうと米国がやろうとフランスがやろうと違法だ。法律は法律として公平にということだ。
安倍官房長官が圧力を先行させているイメージはないね。対話と圧力がない限り話が前に進まないのは、はっきりしている。圧力というのはいろいろある。経済的な圧力もあるし、国連の総会で「拉致」という言葉を盛り込んだ決議が可決されるのも圧力だ。日本のいりいろな努力が成果を上げてきていることは確かだ。
Q.2006年度予算案で政府開発援助(ODA)は減額になりました。
A.05年度の補正予算もある。補正予算と足すとそこそこの数字が出ている。ODAを受け取る国はそれが補正予算か当初予算かを区別したりしない。少なくともODAをやみくもに減らしてきたこの間までとは違う。
自民党政調会長時代から同じことしか言ってないが、私は財政再建原理主義はとらない。財政再建をやろうとして橋本内閣で大失態を演じたのは財務省だ。最も避けるべきことは景気がやっと上向いてきたときにに、その芽をつぶすことだ。財政再建により結果的に経済がマイナスになってしまった反省が全くないのは異常だ。名目の経済成長率がせめて2%前後が2、3年続いてからでも財政再建は遅くない。
Q.財政再建の手法として消費税率の引き上げをどう考えますか。
A.4年半前の自民党政調会の世論調査で、はっきりしている。「消費税率は10%まで可」という回答が5割を超えた。年金の財源にするなどの条件付きで税率は10%が一つの目安だ。問題はその時期と(歳出削減など)やるべきことをやったか。「何となく財務省のペースに乗せられた」では駄目だ。
Q.谷垣禎一財務相は消費税率引き上げ法案を07年の通常国会に提出したいと主張しました。
A.世論が納得するにはある程度、時間をかけなければならない。政府内に合理化したり、減らせる部分はいっぱいある。最短の提出で08年だ。
実施時期は初めて消費税を導入するわけではないから、これから1、2年議論すれば法案成立と同時期に上げてもよい。5%を10%に取り換えるだけだから、そんなに難しい話ではない。役人は(法案成立から実施まで)数カ月かかるというが、うそ八百。財務省の役人の話を聞いていたら話にならない。
Q.祖父の吉田茂氏は外相から首相に就任しました。外相になったことに感慨はありますか。
A.全然ない。吉田茂は衆院議員ではなくて首相になった。あのころは戦前は軍部に抑えられ、戦後は進駐軍に抑えられて外交なんてできなかった。その意味で今の外相はかなり違う。もし生きていたら「おめぇ大丈夫か」って言うくらいのもんじゃねぇか。
(2006年1月4日 日本経済新聞)
|
↑↑↑
クリックしていただけると嬉しいです