<竹島問題>拿捕せず警告 韓国海流調査に日本政府方針
韓国政府が3日から竹島(韓国名・独島)周辺を含む海流調査に着手したことから、日韓間の緊張が再び高まってきた。ただ、日本政府は双方の主張が重なる排他的経済水域(EEZ)に韓国調査船が入ってきても拿捕(だほ)などの強硬措置はとらず警告にとどめる構えで、韓国側が日本の調査船を拿捕する方針を打ち出した4月のような緊迫した事態は避けられそうだ。しかし、日本側も海洋調査などの対抗措置を検討しており、日韓関係の一層の悪化が懸念される。
海流調査は17日までの予定で、韓国・釜山を出港した調査船が竹島周辺海域に入るまでには1週間前後かかるとみられている。海上保安庁は「巡視船を何隻も集結させるのは韓国側を刺激するだけ」と判断し、通常の警備態勢で対応している。韓国調査船が日本の主張するEEZ境界線を越えた場合、無線や拡声機で調査の中止を呼びかけるとともに、外交ルートで抗議する方針。
4月に海保が竹島周辺の海底地形調査を計画した際は韓国側が拿捕方針を掲げ警備艇20隻を出動させ、不測の事態も懸念された。このとき日本側は「公船(政府船舶)の拿捕は国際法違反」と批判した経緯があり、安倍晋三官房長官は4日の記者会見で「韓国調査船は政府船舶。拿捕は行えない。我々は感情的にならず、国際法を順守する」と強調した。
日本は4月の調査を見送って以降、今回の海流調査の自制を韓国に求めてきた。それにもかかわらず韓国が調査に踏み切ったことで、対抗して海洋環境などの調査を竹島周辺で実施する案が浮上。ただ、海洋調査の応酬になれば日韓間がさらに緊張するため、政府内には慎重論もある。
(2006年7月4日 毎日新聞)
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竹島周辺海域、5日にも韓国調査か 一部メディア報道
韓国の聯合ニュースなど一部メディアは4日、日本が自制を求めている竹島(韓国名・独島)周辺海域での韓国による海流調査を、予定を早めて5日にも実施すると報じた。政府当局者が「調査船は5日ごろ、日本が主張する排他的経済水域(EEZ)ラインの東側に進入するだろう。宿題は早く終わらせたい」と言明したという。
ただ、政府関係者は朝日新聞に対して「それほど早くはない」と否定的な見方を示した。
韓国国立海洋調査院の調査船「海洋2000号」の海流調査は3日から始まり、当初は竹島周辺海域に入るのは10日過ぎとみられていた。潘基文(パン・ギムン)・外交通商相は5日から予定していた中米訪問の突然の延期を決め、海流調査に対応するためとの観測が流れていた。
(2006年7月5日 朝日新聞)
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韓国船、5日にも竹島海域入り 日本が警戒強化
韓国近海から海流調査を開始していた同国海洋調査院の調査船が五日にも、竹島(韓国名・独島)周辺の日本が主張する排他的経済水域(EEZ)に入る可能性が高まり、日本の海上保安庁などが警戒を強めていることが分かった。複数の日韓政府関係者が四日夜、明らかにした。韓国のSBSテレビも四日夜、竹島周辺での海流調査が予定より早く五日ごろ行われる見通しだと報じた。
日本政府はこうした動向を受けて四日夜までに、関係部局で対応策を協議。韓国側が実際に日本主張のEEZ内での調査に踏み切った場合は、海上保安庁の巡視船が接近し、無線や拡声器などで調査中止を要請するとともに、外交ルートを通じ韓国政府に抗議する方針を確認した。
安倍晋三官房長官は四日午後の講演で、竹島周辺での調査に対し「警告は発するが、拿捕(だほ)はできない。感情的にならず国際法にのっとり粛々と対応する」との方針を表明。ただ政府内では、対抗策として四月に中止した海洋調査の実施を検討すべきだとの強硬論が強まる可能性もある。
関係者によると、韓国の調査船が竹島周辺調査に踏み切る場合は、五日早朝に日本主張のEEZ内に西側から進入し、竹島から十二カイリ以内の「領海」を通過した後、同日夕までに調査を終えてEEZから出る見通しだ。
韓国の調査船「海洋2000号」(二、五三三トン)は二日夜、釜山港を出港。当初、日本主張のEEZに入るのは十三日ごろとみられたが、それまでに両国関係が予想外に緊迫化しかねないと判断、日程を急きょ繰り上げた可能性がある。
麻生太郎外相は三日夜、電話で韓国の潘基文外交通商相に調査の中止または延期を要請したが、潘氏は予定通り調査を実施する考えを示し、平行線に終わっていた。
(2006年7月5日 中国新聞)