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どんこさんから以下のようなコメントを頂きましたので、今日は子どもの育ちに必要な「からだの使い方」について書いてみます。
1人目ということもあり何事も慎重で運動神経はあまり発達しなかった小3の息子。でも生き物捕りは大好きで、小さい時から近所でよく虫や魚を捕まえています。ここ1,2年はキャンプや自然体験イベントにもよく参加するようにもなりました。今日は岩の多い川で、水中の生き物を観察してきました。岩場を登ったり下りたり、草むらや坂を転ばずに走ったり、そういう体の動きは生き物捕りをする中で自然に培われてきていると感じました。でも、運動自体は得意な方ではなく、体育でする鉄棒や前転後転やジャンプなんかは苦手です。ロデオは家でたまにしますが、しがみつく力はあります。 動物たちは、大きく分けて二つの場面でからだを使っています。 一つは攻撃するときです。 獲物を追いかけ、飛びかかり、組み伏せ、打ち殺すようなときには非常に派手にからだを動かします。 このようなからだの使い方に求められるのは、「早さやパワーにおいていかに相手を上まわることが出来るのか」ということです。弱肉強食的な世界です。 スポーツはこのようなからだの使い方を競技として発展させたものです。 そして私たちはこのようなからだの使い方に優れた子を見て、「あの子は運動神経がいいね」などと言います。 からだを使う必要があるもう一つの場面は、逃げるときや、身を守るときなどです。 物音がしたときなどにパッと穴や物陰に隠れたり、木に登って逃げるような動きです。 そしてこれは、獲物を追いかけ、飛びかかり、組み伏せ、打ち殺すようなからだの使い方とは全く違います。 そもそも使っている筋肉が違うのです。 簡単に言うと、攻撃するときに使っているのは「押す筋肉」です。それに対して逃げるときに使っているのは「引く筋肉」(筋)です。 ちなみに、いわゆる「筋肉」として見ることが出来るのは「押す筋肉」の方です。ですから、「押す筋肉」が発達しているとマッチョでかっこいいです。 ジムなどで鍛えることが出来るのは「押す筋肉」です。 そして、欧米人はこの「押す筋肉」に優れています。 だから攻撃的でもあるのです。 胆汁質が強い人も、この「押す筋肉」に優れています。 でも、日本人は「力を入れずに引く」というからだの使い方の方が得意です。日本人は、押してからだを動かすのではなく引いてからだを動かしていたのです。 もっとも最近の人は、昔の日本人のからだの使い方が分からなくなってしまっているので、押してからだを動かそうとしています。 でもだから、からだを壊してしまうのです。 スポーツ選手なんか、みんなどこかしらからだを壊していますよね。 このからだの使い方の象徴が「ノコギリの使い方」です。 欧米のノコギリは押して切ります。 でも、日本のノコギリは引いて切るのです。 そのため、刃の向きが逆になっています。 押して切るときには腕力や体重が必要です。でも、引いて切るときには腕力はあまり必要ではありません。腰と腹とからだ全体をうまく使うことが出来ると、力を入れなくても切ることが出来るからです。 刀の使い方も同じです。西洋の剣は押して切り、日本刀は引いて切ります。 西洋の格闘技は力業ばかりです。ですから、レスラーなどもマッチョばかりです。 ドアを開ける時のことを考えてみて下さい。ドアを押して開ける時にはからだを固めて、腕に力を入れて押しますよね。 でも、引いて開ける時にはからだを固めませんよね。それと、からだ全体を使いますよね。 同じ重さのものを、同じ量だけ移動しているのに、からだの使い方は全く違うのです。 それと、「押す力」は若いときは強いですが、加齢と共に急激に衰えます。攻撃する力は年齢のピークが過ぎると急激に低下するのです。 スポーツ選手の寿命が短いのはそのためです。 それに対して、日本の武道などでは60、70代になっても、20代の若者をポンポン投げている人もいっぱいいます。太極拳などでも同じです。 それにマッチョはいません。 これは、日本の武道や太極拳などは筋肉によって押して動いているのではなく、重力や、腹や腰などを使ったり、からだ全体をうまく使って引いて動いているからなのです。 柔道で相手を倒そうとすると力を入れて力むことになります。すると力と力の戦いになります。でも、からだの内側にらせん的な流れを作り、からだの力を抜いたままその流れに相手を引き込むように動くなら力と力がぶつからないのです。 だから、昔は「柔よく剛を制す」と言われたのですが、最近の柔道はまるでレスリングのようです。 また、動物たちの動きも基本的には同じです。 動物たちも普段は力を入れずに動いているのです。だからなめらかに動くことが出来るのです。 戦っているとき以外に力んでいる動物って見たことがないでしょ。 そして、子ども達がまず学ぶのも、この引いてからだを動かす方法です。 コマ回しでも、竹馬でも、木登りでもマッチョな筋肉は全く必要ありません。腕立て伏せが一回も出来なくても、かけっこが遅くても、コマ回しや竹馬や木登りが得意な子はいっぱいいるのです。 だから、子ども達の姿勢や動きは美しいのです。 このような「遊びを通して身につけた身体能力」が、子どもの身を守ってくれていたのです。 スポーツでは競争や記録が目的ですから、どうしても「力むからだ」(攻撃するからだ)になってしまうのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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