昨日は、
自然の中で自然と関わって遊ぶときに必要になるのは「観察力」なんです。
と書きましたが、これは「そこ生えているもの」や「そこにあるもの」に対してだけではありません。
人工的に作られた空間は単調で、統一的で、平面的で、変化がありませんが、自然のままの空間はどこに行っても多様性に満ちています。
室内の床はほぼ完全に平面です。ビー玉を置いても転がりません。転がったら欠陥住宅です。
でも、山はもちろんのこと、野原でも、人工的に作られた床のように平面な場所は存在しません。
ビー玉を置けば転がるし、水をまけば水たまりが出来ます。
それに、人工的な世界は直線と平面ばかりで作られています。壁も天井も平面です。平面と平面がぶつかるところは直線です。
でも、自然界の中にはそんな空間は滅多に存在していません。
また、人工的に作られた空間は同質でもあります。木で出来た床、石で出来た床はありますが、「木と石と砂と落ち葉が敷き詰められた床」などというものは存在しません。
そして、子ども達の遊びにおいては、その多様性が遊びの種になるのです。
森や野原には、高いところ、低いところ、明るいところ、暗いところ、石で出来たところ、泥で出来たところ、広いところ、狭いところなど、色々な質の場や空間があります。
子ども達は、その違いを使って遊ぼうとするのです。
「高オニ」(たかおに)という鬼ごっこがありますが、子どもはその空間にある高低すら遊びの道具に使います。
「色おに」では、色の違いを使って遊んでいます。
「かくれんぼ」では「狭いところ」「暗いところ」「見えにくいところ」を探して遊んでいます。体育館のような開けた空間で「かくれんぼ」をするのは困難ですが、森の中だったら簡単に「かくれんぼ」をして遊ぶことができます。
このように、「その空間にあるもの」だけでなく「空間そのもの」が子ども達の遊びの道具になるのです。
ですから、幼稚園の園庭などを設計するときには、「遊びに伴う子ども達の心とからだの動きに沿った動線」を工夫します。空間の作り方によって、子どもの遊びが大きく影響されてしまうからです。
大人は「広くて平面的な方が思いっきり遊べるだろう」と思ってしまいますが、そういう場所は「スポーツ」には向いていますが、「遊び」には向いていないのです。
広いところと狭いところ、高いところと低いところ、明るいところと暗いところ、平らなところとデコボコしたところ、土の所、石の所、水の所など多様な場所があって、しかもそれらの場所が複雑に絡み合い循環できるような空間になっていると、子ども達はいつまでも夢中になって遊ぶことが出来るのです。
自然の中でそういう場所を探すのは難しくありませんが、人工的にそういう空間を作るのは難しいのです。
園庭にそういう配慮をしてある幼稚園は「子ども目線の保育」をしている幼稚園だと思います。
それに対して、ただ遊具がいっぱい置いてあるだけで、平面的で管理しやすい園庭の幼稚園は「大人目線の保育」をしている幼稚園だと思います。
室内で遊ぶときにも空間をちょっと工夫してあげるだけで遊びが生まれたり、遊びが活性化したりします。
子どもが中に入れるような段ボールを置いてあげるだけで、新しい遊びが始まります。
空間を仕切るような小さなついたてを置いてあげるだけで、新しい遊びが始まります。
大人はそんなもの置いたら狭くなって遊びにくいだろうと思うのですが、子どもは「物理的な空間」ではなく「心の中の空間」で遊んでいるので大丈夫なんです。
「おしいれのぼうけん」という絵本があります。
![](https://hbb.afl.rakuten.co.jp/hgb/?pc=https%3A%2F%2Fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2F%400_mall%2Fbook%2Fcabinet%2F6069%2F9784494006069_1_2.jpg%3F_ex%3D128x128&m=https%3A%2F%2Fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2F%400_mall%2Fbook%2Fcabinet%2F6069%2F9784494006069_1_2.jpg%3F_ex%3D64x64)
おしいれのぼうけん (絵本・ぼくたちこどもだ) [ 古田 足日 ]
子どもは狭くて暗い押し入れの中でさえ遊ぶことが出来るのです。
遊び道具として、空間を仕切るためのこういう「ついたて」も売っています。(「シュタイナー ついたて」で検索すると出てきます)
でも、こんな高価なものを買う必要はありません。
お父さんの日曜大工で作ったものでも十分です。段ボールのついたてでも大丈夫です。とにかく、このようなものを使って「空間」を多様化してあげると子どもの遊びが活性化するのです。
言い換えると、部屋の中を自然に近い状態にしてあげると子ども達は遊びやすくなるのです。子どもの感覚や感性やからだは、自然の中で活性化するように出来ているからです。
![](https://hbb.afl.rakuten.co.jp/hgb/?pc=https%3A%2F%2Fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2F%400_mall%2Feurobus%2Fcabinet%2Fblock%2F105111681-02.jpg%3F_ex%3D128x128&m=https%3A%2F%2Fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2F%400_mall%2Feurobus%2Fcabinet%2Fblock%2F105111681-02.jpg%3F_ex%3D64x64)
Norvert ノルベルト社 N.V カーテンと取付用部品〜ドイツのおもちゃメーカーNorvert(ノルベルト社)のN.V 多目的棚(ついたて)に取り付ける人形劇用のカーテンと部品セットです。
![](https://hbb.afl.rakuten.co.jp/hgb/?pc=https%3A%2F%2Fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2F%400_mall%2Feurobus%2Fcabinet%2Fblock%2F105111445-01.jpg%3F_ex%3D128x128&m=https%3A%2F%2Fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2F%400_mall%2Feurobus%2Fcabinet%2Fblock%2F105111445-01.jpg%3F_ex%3D64x64)
Norvert ノルベルト社 N.V 多目的棚 ベーシック〜ドイツのおもちゃメーカーNorvert(ノルベルト社)のシュタイナー教育の現場で使用されているついたて(プレイスタンド)です。