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私は30年以上まえ、長女が5才、長男が3才の頃に自宅で子どものための造形教室を始めました。それは、「この時期の子どもには、色々なことをイメージし、そのイメージを手と頭とからだを使って形にする行為」が必要だと思ったからです。
この時期の子ども達は、そのような活動を通して「意識やイメージや思考や感覚といった子どもの内側」と、「子どもが生きている現実世界」という外側がつながるようになるのです。 またそのことで、「論理的に考える能力」や「自分自身の存在感」(自己肯定感)も育って行きます。 その頃は、ゲーム機がどんどん普及する時期でもありましたが、あえて、時代の流れとは逆行するようなことを始めたわけです。 最近の子ども達は自己肯定感が低いと言われますが、「自己肯定感」は「他者とのリアルなつながり」の中で育って行くものです。そのため、「リアルなつながり」から切り離された状態で育っている子は「自己肯定感」を育てようがないのです。 そして、「色々なことをイメージし、そのイメージを手と頭とからだを使って形にする行為」を子ども達に体験させたいと思ったので、うちの教室ではその時々で「オススメ」という形で色々な提案はしましたが、実際に何を作るのかは子ども自身に決めさせました。造形関係の本もいっぱい揃えました。子どもを「お客さん」にしてしまったら意味がないからです。 「お客さん」になってしまったら、選択するだけで能動的に感じ、考え、行動しなくなってしまいます。その結果、マニュアルに従った作業は出来ても、自分の頭で考え、イメージし、手やからだを使って創造することが出来なくなってしまうのです。 ですから、うちの教室では決まったテーマを与えずに自由に感じ、考え、創ることを大切にしました。能動性を目覚めさせるためには「自由」が必要だからです。 それで、「オススメ」を積極的に受け入れてくれて新しいことに挑戦しようとする子もいれば、自分のテーマが決まっていて、いつもそのテーマを追求している子もいました。 教室を始めた当時は、かなり個性的な子ども達もいっぱいいました。作品もユニークでした。 「ここは自由に創れるから楽しい」と言ってくれる子ども達もいました。 でも今では、子どもに「オススメ」を提示しても、ちょっと面倒くさそうなテーマだとすぐに却下されてしまいます。そして「他になにか簡単に出来るものない?」と聞いてきます。最近は、「頭や手やからだも使わなくても簡単に出来るもの」ばかりをやりたがる子が多いのです。 また、自分の頭で考えたり、見本を見て理解することをしようとせず、教えてもらうことばかり求めてくる子も多いです。 そういう子はすぐに「次はどうするの?」と繰り返し聞いてきます。イスを作っているのに、足を一本切るたびに「次はどうするの?」と聞いてきたりします。 見本が置いてあっても見本を見ません。見ても分からないようです。 教室には暇つぶし用の知恵の輪も置いてあるのですが、全然試行錯誤せず、持った途端に「どうやって外すの」と聞いてくる子も多いです。 それでいて、「木で自分が入れるような大きな家を作りたい」とか、「ラジコンが作りたい」とか、「折りたたみが出来る椅子が作りたい」などと、突拍子もないことを言うのです。 ちなみに、「木で自分が入れるような大きな家を作りたい」と言う子には「大工さんに弟子入りしな」と言い、「ラジコンが作りたい」と言う子には「お店に行ってキットを買ってきな」と言い、「折りたたみが出来る椅子が作りたい」と言う子には「設計図を書いてみな」と言いました。 特に、いつもゲームで遊んでいるような子にその傾向が強いです。現実と非現実の違いがよく分かっていないのでしょう。そういう子は、「頭や手やからだを使うような面倒くさいテーマ」には取り組みません。取り組んでもすぐに疲れてしまいます。 20年以上前にやった作品展の写真です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.05.17 08:12:26
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