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私は、自宅では自由に色々なものを作る造形教室をやっています。
「自由」ですから、「作りたいもの」を決めるのは子ども自身です。そして、その参考になるような色々なお手本や本をいっぱい揃えています。 教室を始めた30年くらい前にはそれでうまく行っていました。「ここは自由に創れるから楽しい」と言ってくれる子どももいました。 でもいつのまにか、その自由をもてあましてしまう子ども達が増えて来ました。「自由に創っていいんだよ」と言っても、「わかんない」と言うのです。そして「なに、作ったらいいの?」と聞いてきます。 そのくせ、色々なお手本を見せたり提案をしてもことごとく却下します。そして「たいくつだー」と言いながらブラブラしていたり、友だちとおしゃべりをしています。 でも、そういう子ども達でもアニメやゲームの話になると盛り上がります。 最近、そういう子が多いのです。 そのような状態の子が増えるのは9才、10才頃からです。1,2年生の子は素直にこちらの提案を受け入れてくれます。でも、9才、10才頃から自分で決めたがるようになるのです。 それ自体は成長に伴う自然な変化なんですが、最近の子は自分で決めたくても決められない子が多いのです。 こちらの提案に対して「それは嫌だ」とは言うのですが「じゃあ何がやりたいの?」と聞いても「わかんない」という答えしか返ってこないのです。 9才、10才頃から子ども達は「社会」というものに意識を向け始めます。少しずつ「自分の将来」のことも考え始めます。それまでの「夢」は単に想像するだけのものでしたが、この頃から「将来の目標」が「夢」になっていくのです。 そして、「アンパンマンになりたい」などという非現実的な夢はいつのまにか消えて行きます。 そんな時、「やりたいこと」を見つけられた子は子は、生き生きとしています。でも、それを見つけられない子は無気力になっていきます。 9才頃までは楽しければそれだけで満たされていました。でも、9才を過ぎる頃から楽しいだけでは満たされなくなっていくのです。達成感や充実感が欲しくなるのです。 まただから、現実の世界の中でそれを見つけることが出来ない子はゲームにのめり込んでいくのです。ゲームの中で達成感や充実感を得ようとするのです。そして、ますます「現実の世界」への興味を失っていきます。 ゲームしか「やりたいこと」がなくなってしまった子は、「動くもの」には意識を向けることが出来ても「動かないもの」に意識を向けることが困難なようです。そういう子は、見て感じたり、見て理解する能力も低いです。 本来はその頃から社会的な活動や、大人の世界や、大人の仕事に意識が向いていって、「自分の将来につながるような目標探し」が始まるのですが、家庭や学校に閉じ込められてしまっている現代の子ども達には、社会的な活動や、大人の世界や、大人の仕事と出会う機会がありません。 それでも、本をいっぱい読んでいるような子は、本の中で社会的な活動や、大人の世界や、大人の仕事と出会う事が出来ますが、最近の子は幼い時から文字は読めても、本を読むことを楽しむことが出来ません。 だから、その時期の子ども達を家庭や、学校や、テレビや、スマホや、ゲームの中に閉じ込めてはいけないのです。 「9才の危機」を迎えた子ども達を生き生きとさせるためには、色々な所につれて行き、色々な大人や世界と出会わせ、色々な体験をさせてあげる必要があるのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.05.23 06:35:28
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