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大雪注意報の天気予報は外れ、午後から晴れ間の除く絶好の散歩日和となったので、ローカル線で20分ほどのザールブルクの町へ行って来た。町とそれをとりまくザルブルガー・ラウシュの葡萄畑もすっかり雪化粧している。年越しはどうやら雪になりそうだ。毎年見晴らしのいい葡萄畑の上で、町中から打ち上がる花火と同時にゼクトの栓を飛ばすのが恒例行事となっているのだが、お天気次第だ。
ザールブルクの古城跡から下流を見渡したところ。中央を蛇行しているのはザール川で、右手奥に南向き斜面一面に広がるオクフェナー・ボックシュタインの畑が見える。 さて、今日は生産年レポート第五弾、アールです。 5. アール アールは旧西ドイツ最北に位置する生産地帯で、生産されるワインのうち9割近くが赤ワインという、ドイツでも特異な地区である。かつては軽くてほの甘い観光客向けの赤が多かったが、近年は濃いめの辛口が増えており、とくにVDP加盟醸造所のシュペートブルグンダー、フリューブルグンダーの品質は注目に値する。 2005年は平年並みに寒冷で降雨の少なかった冬の後、4月末に芽吹きが始まった。5月の冷涼で不安定な天候-日中の平均気温は13度と平年より若干低めだった-に対し、6月は日中の平均気温が18度と、平年の16.3度を上回る温暖な天候で、遅れ気味だった生育は急速に進み、6月中旬に始まったシュペートブルグンダーの開花は数日で順調に完了した。その後も夏のような天候は続き、充分な土壌の水分と相まって葡萄は急速に成長を続けたが、バート・ノイエンアールとアールヴァイラーの一帯では雹の被害にみまわれた。 フリューブルグンダーは7月中旬に色づき始め、シュペートブルグンダーの成熟は8月下旬に始まった。これは平年より1週間ほど早い。この時点で葡萄畑のコンディションは完璧といえるもので、葉も房も健全、質的にも量的にも素晴らしい生産年になる見込みだった。9月初旬に日中平均気温はいよいよ高くなり、それに伴って果汁糖度も週ごとに確実に上昇していった。 8月を通して1平米あたり8リットルにすぎなかった降雨は、9月に平年の5割り増しに増加し、とりわけ9日から12日かけての強い雨と蜂による被害で腐敗が一気に広がり、予定よりも早い収穫開始を余儀なくされた。9月中旬にはフリューブルグンダーの収穫が完了し、続いてポルトギーザーの収穫が始まった。収穫期の天候には恵まれたものの、腐敗の進行によってシュペートブルグンダーの収穫を遅らせることは不可能な状態だったため、9月末には収穫が開始され、10月中旬には全ての収穫を完了した。 ボトリティスのついた房の厳密な選り分けを行った醸造所は、早期の収穫にもかかわらずシュペートブルグンダーで85~95エクスレに達する素晴らしい品質の果汁を得る事が出来た。平均収穫量は約70hl/haで、平年より15%前後少ないが、エキス分の多い、フルーティでボディのしっかりした色の濃いワインとなりそうだという。 参考資料:Das Deutsche Weinmagazin 24/ 19. November 2005 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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