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Nov 9, 2004
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カテゴリ:映画鑑賞記録
監督・・・崔洋一
原作・・・梁石日『血と骨』(幻冬舎文庫刊)
出演・・・ビートたけし、鈴木京香、新井浩文、田畑智子、オダギリジョー、松重豊、中村優子、唯野未歩子、濱田マリ、寺島進、

・物語序盤・
1923年。出稼ぎの朝鮮人労働者を乗せた船が、済州島から大阪へ向かっていた。
異国で一旗挙げようと野心に燃える若者金俊平も、その中の一人である。
彼は逞しく、凶暴な性格で、朝鮮人街でも有名な男となっていった。
彼は女性関係も派手で、李英姫という子連れの女性と深い仲になって結婚する。
その後、二人の子に恵まれたが、家庭的な父親からは程遠い存在だった。
彼はある日、蒲鉾工場を作ると言い出し、大家の許可も得ないまま、家を解体し始める。
そこで弟分の高信義らと共に、事業を始めた俊平は、経済的には成功するが、家族にとっては脅威でしかなかった。

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梁石日が自らの父親をモデルに著わした同名ベストセラー小説を映画化。

とにかく圧倒されてしまいました。
人間の持つ凄まじいパワーというか、生々しさというか。
主人公もそうですが、周囲の人々のそれぞれの人間ドラマも濃すぎて、圧倒されたという表現が一番しっくりきます。
崔監督は主人公役には、たけしさんしか居ないと思っていたそうですが、映画を観て納得しました。
このキャラクターは、たけしさん以外には有り得ないですね。
役作りの為、トレーニングをかなり積まれたとの事ですが、凶暴な男が板に付いていました。
映画の中では、無茶苦茶な乱暴者なのですが、無骨ながら微妙に人情味のある部分も表現して、上手く嫌われないキャラクターを作り上げていましたね。
でも実際に彼が身内だったら、心の休まる暇が無いでしょう。
早く死んでくれと願うと思います(笑)。

進行役の金俊平の息子が、いつも第三者的な立場で描かれていたのが印象的でした。
揉め事の中心には飛び込まず、少し距離を置いた所で、人間のどろどろした愛憎劇を観察しているような青年だったのではないでしょうか。
彼のお姉さんの身の上は、本当にお気の毒でしたね。
生まれてから死ぬまで、一度も良い事が無かったような人生で、何の為に生まれてきたのだろうかと…。

時代背景と民族問題もとても強く心に残りました。
時代に翻弄されながら、それぞれが必死に足掻きながら生きているという感じで。
新天地を求めて、祖国の朝鮮半島から大阪へ渡ってきた彼等が、戦争という大きな波に飲み込まれ、その後ある者はまた理想を追い求めて北朝鮮に旅立ち、ある者は朝鮮民族としてのアイデンティティーを維持しながら、異国の地で骨を埋める覚悟をする。
それぞれの人間ドラマが凝縮されていて、なかなかの力作だと思いました。

個人的には、金俊平の二人目の愛人役を演じた濱田マリさんのエッチシーンに仰天でした。
彼女の平素のキャラクターからは、濡れ場が想像できなかったもので(笑)
でもがめつく逞しいなにわ女を熱演していましたね。
鈴木京香さんは、年を取った時は本当に老女のように見えて、演技力のある女優さんだなぁと改めて感心しました。
役柄としては、愛人を囲った夫と向かい同士の家に住み、ずっと睨み合いをしているという、これまた人間の凄まじさを感じる役どころでしたが。

原作の小説は、それぞれのエピソードがもっと詳細に書かれていると思うので、更に圧倒的な人間ドラマが読めるでしょうね。
映画では、この辺りかなりはしょっているなと思えるシーンも多かったので。
でも約二時間に無理なく収まっていたと思いますよ。

映画は秀作だと思いますが、家庭内暴力の経験などがおありの方は、自分に重なってしまって気が滅入るかもしれません。
私はちょっと厭な事を思い出しました…笑。
精神的に気楽な状態の方に、お勧めしておきたいと思います。





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最終更新日  Nov 13, 2004 02:24:44 PM
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