テーマ:試写会で観た映画の感想(678)
カテゴリ:映画鑑賞記録
10/1(土)より全国ロードショーです。
監督・・・黒土三男 原作・・・藤沢周平『蝉しぐれ』(文春文庫刊) 出演・・・市川染五郎、木村佳乃、ふかわりょう、今田耕司、原田美枝子、緒形拳、小倉久寛、根本りつ子、山下徹大、利重剛、矢島健一、渡辺えり子、原沙知絵、大滝秀治、大地康雄、柄本明、加藤武、石田卓也、佐津川愛美、他。 ・物語序盤・ 江戸時代、東北の小藩“海坂藩”。 牧文四郎は下級武士である義父・助左衛門と母・登世と三人で暮らす15歳の少年。 剣術の腕は道場でも抜きん出ていて、立派な武士となるべく、日々鍛錬の毎日だった。 二人の友達、逸平と与之助とは親友同士。 そして隣家の娘ふくとは、淡い恋心を抱き合う仲であった。 そんなある日、藩の世継を巡る抗争に父が巻き込まれ、切腹を命じられた事から、彼の運命は暗転する。 罪人の子として辛苦の日々を過ごす文四郎。 そんな彼を案ずるふくだったが、彼女は江戸の屋敷で奉公する為、親に連れられて旅立ってしまう。 それから数年後、青年になった文四郎に筆頭家老・里村左内から牧家の名誉回復が告げられるのだった。 しかし彼は、以前文四郎の父を死に追い遣った張本人であった。 「たそがれ清兵衛」や「隠し剣 鬼の爪」の原作者藤沢周平の小説を映画化した作品です。 私は観ていないのですが、先にテレビドラマ化されたようですね。 映画を観て、率直な感想は、「う~ん、イマイチかな」…笑。 監督も違うので比べるのも何ですが、「たそがれ清兵衛」や「隠し剣 鬼の爪」の方が、ずっと面白かったし、登場人物にも感情移入できました。 長ったらしい割に、ドラマが薄いのですよね。 やたら、風景ばかり映しているのが気になりました。 確かに日本の四季は美しいのですが、それより肝心のドラマをもっと判り易く、且つ、テンポ良く進めてもらわないと。 お世継問題絡みで陰謀があるのですが、人間関係などが説明不足で判り辛かったです。 他にも色々な面で問題ありだと思いますが、先ず、少年期の文四郎とふくの恋愛感情の描写が弱すぎ。 江戸時代なので現代とは違って、互いの思いをオープンに表せないのは判るのですが、台詞も殆どないので、この二人が相思の仲だと納得できません。 ここは一歩譲って、心の内を描写する台詞を追加してほしかったですね。 この二人の思いが伝わってこない為に、大人になってからの再会に重みが出ません。 互いに秘めた思いを抱きつつ、それを表す事が出来ない立場になってしまった二人の悲恋が、全然心に響いてこないのです。 この二人の思いは、長い長い年月を経ても、消える事無く心の奥に燻り続けていたものです。 その年月の重みが伝わらないのは痛かったですね。 キャストとしては、一番気になったのは、今田耕司さんです。 画面に登場した途端に、違和感が漂いました。 ふかわりょうさんは、何とか許容範囲かと思いましたが、何故お笑い芸人を起用したのでしょうか? 特に今田さんが演じるのは、元々勉学で身を立てようと、江戸に赴いた青年の役です。 それが田舎に里帰りしたら、三枚目キャラになっていたというのでは、筋が通りません。 はっきり言って、ミスキャストでしたね。 ミスキャストと言えば、主役の市川染五郎さんも、正直な所、あまり嵌っていませんでした。 少年時代の野性味溢れる役者さんと落差があり過ぎましたし、演技面でも歌舞伎口調な所があって、芝居掛かった台詞はどうも馴染めませんでした。 格好つけようと見栄を張れば張るほど、格好悪く見えるというような悪循環かな。 個人的に"映画俳優"としての市川染五郎さんが、あまり好みでないと言えばそれまでなのですが。 ラストの二人が語り合う場面も、何年もの月日が流れている筈なのに、二人の役者は肌がつるつる。 せめて老け顔メイクの一つも出来なかったのでしょうか。 脚本・演出に多いに問題ありと感じた映画でした。 これでは心は動かされないです。 一つだけ評価できたシーンは、斬り合いの時、刀を何本も持ってきた所。 普通の時代劇では、一本の刀で斬り続けますよね。 その辺のリアリティーに拘ったのは良かったです。 余談。 この日、一番笑った事。 一緒に観に行った友人が鑑賞後、「面白かったよ。」と言いつつ、「点数は40点かな」と言った事。 キミの面白いの基準、低~っ! ↑ぷちっとクリックして下さると嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Sep 16, 2005 12:15:39 PM
[映画鑑賞記録] カテゴリの最新記事
|
|