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重信川の岸辺から

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2008/07/12
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 緊急座談会「秋葉原事件・何が問われているのか」(「世界」8月号)を読んで納得できることが多かった。鎌田慧(『自動車絶望工場』ほか)、池田一慶(ガテン系連帯代表)、小林美希(『ルポ正社員の若者たち』)、本田由紀(『軋む社会』ほか)というすばらしい顔ぶれの座談会である。以下、私が特に注目した部分を列記してみよう。…の後はそれに対する私の感想である。

 ・いま危惧しているのは、彼が「アキバ系のオタク」だったとか、事件の原因を彼個人の性格に還元したり、あるいは派遣労働という構造や派遣先企業の問題を無視して派遣会社だけを問題視する議論です。こうした議論が派遣社員を職場でさらにおき詰めないかと心配です。一方で派遣先の大企業は平然としている。(池田)
 
 …鎌田さんによると6月14日付け朝日新聞の天声人語は「派遣工の弱い立場も背景の一つだが、凶行を格差社会のみで語るのはどうか。あまり一般化すると、私的で特異な要素がかすんでしまう。」と書いているという。このような議論は逆に個人の特異性ばかりに焦点があたり、その背景にある重大なことがらが隠されるのではないか。

 ・僕の働いていた工場では一ヶ月に一回、生産工程会議を行い、派遣労働者や期間工の数を決めるのですが、それを決めるのは工務部といって部品を扱う部署です。(池田)

 …派遣労働は、まさに労働者を部品として扱うという企業、それも大企業のあり方を明証している。
 
 ・1999年に派遣労働法が改正され、それまでは専門的業務に限って例外として認められていた派遣労働が原則的に自由化されました。そして03年の派遣法改正でついに製造業でも派遣労働が解禁されるにいたりました。(池田)
 ・現代の雇用形態の多様化は人件費削減のために起こった部分が大きく、スタートからアンフェアだった(小林)
 ・なぜなら、もともと企業は正社員をジョブスキルで選んだいるのではなく、メンバーとして認めていいとみなせる人間かどうかを選別して採用しているので、一度メンバーシップがない世界に入ってしまった人がその後にメンバーとして承認されることは非常に難しいのではないか。(本田)

 …経済が破綻して、経済界はそれを人件費削減により乗り切ろうとした。小泉、竹中の規制緩和、構造改革は、これを積極的に進め、03年の派遣の完全自由化に行き着く。それを政治家や官僚や御用学者は多様な働き方ができる理想のあり方とごまかしたが、行き着いた先は今見る現状である。始めから雇用費削減の差別があり、それは、スキルアップなどで乗り切れるものではなかった。だから、政府の非正規雇用対策ははじめからごまかしだったのだ。

 ・これまでは期間工が最底辺の労働者だったからです。今はさらにその下に派遣労働者の階層が出来たので、期間工の募集すら選別が働くようになった。期間工にすら落ちて、その子会社の、それも期間工の下の派遣になり、解雇の予感に震える。とんでもない絶望的状況です。(鎌田)

 …これは事件の容疑者についてのべた部分だが、政策の行き着く先には、このような絶望的状況を、いたるところに生じさせたのではないか。

 ・派遣労働の自由化をおしすすめた日本経団連の会長を出し、自らも期間工や派遣労働者、偽装「請負」などを大量に雇用してきたトヨタやキャノンという大企業の責任を問わなければいけない。派遣がこれだけ増えて背景には、トヨタやキャノン、松下などの大企業の生産現場で派遣労働者が大量に使われてきたことにあります。(鎌田)
 ・日研総業を庇うわけではありませんが、彼らを利用しているのは経団連の会長を出しているキャノンやトヨタ自動車である、彼らが政府の審議会などに入って労働者派遣法の改悪を進めた。コストダウンのためにピンハネ産業を育成しています。(鎌田)
 ・トヨタ自動車は利益が二割減ると言っていますが、もともと2兆円の利益をあげていて、昨年のトヨタの役員報酬は39億円です。一方で下請労働者や派遣労働者が苦しんでいる現状には理不尽を感じますね。(鎌田)
 
 …派遣労働者の完全自由化を進めたのは小泉内閣であり、ブレーンの竹中他であったが、実質は、財界であり、その中核であるトヨタ、キャノン、松下などの大企業であった。彼らが彼らの利益のために労働者を犠牲にしたのである。それに縁って大企業は巨利を得、彼ら自身も巨額の報酬を独占した。そのかげでどれだけの労働者が泣いていることか。
 今回の事件の容疑者が働いていた関東自動車工業はトヨタの中核子会社であった。資源高騰の中で手っ取り早いコスト削減のために派遣労働者200名を一挙に解雇しようとした。こんなあり方が許されているところに問題がある。

 ・大企業の最大の問題点は、グローバリゼーションのもとで、「国際的な競争力の強化」を口実として人件費をカットしてコスト削減し、利益を最大化することを覚えたことです。アジアの製造業が成長している今、コスト競争では日本は勝てない。日本が生き抜くためには付加価値の高い製品を開発していくことが求められるのですが、日本の大企業は人件費のカットという安易な選択をしてきたので、むしろそういう意識は低いのではないかと思います。(小林)

 …大企業は付加価値の高い製品作りという長期的なあり方を選択せず、人件費カットという安易な道を選んだ。経済界も、小泉、竹中ラインもその先にばら色の未来があると宣伝した。だが、結果は大企業とその役員も巨額の利益を得たが日本の産業全体は「国際的な競争力の強化」を実現したわけではない。
 かえって、人件費カットと言う安易な道を選び、法人税、所得税その他の大企業優遇税制の恩恵を受けながら、さらに基礎年金企業負担の廃止、法人税の更なる減税などなど強欲な政策を要求し続けている。
 彼らの要求どおりにことが進めば、年金制度の崩壊、国民保険制度の崩壊、雇用制度の崩壊の後に、彼らの大企業だけが繁栄しているという暗い未来が待っているだろう。

 …秋葉原事件を考える時、このような背景、大企業や政府や雇用のあり方を放置してはならないだろう。そういうことでいえば、関東自動車工業についていっさい触れないメディアのあり方は大いに問題があろう。派遣法についても問題点を現実にそって厳しく掘り下げる取材が必要である。テレビや新聞や雑誌というメディアがそういう問題を避けているては、ジャーナリズムとはいえまい。
 トヨタやキャノンや松下をはじめとする大企業が経済界の大物であり、大広告主であるにしても。

 ~座談会はさらにどうたたかうかという話になるが、その部分についてはまた次回。~
 
 
 
 


 





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Last updated  2008/07/12 04:57:23 PM



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