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長押 綴

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2010.06.08
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カテゴリ:.1次題
新田改は、自分自身を描写し、殺すことが好きだった。

絵で。
小説で。
音楽で。
踊りで。


ありとあらゆる昇華をすることで、自分の中の世間に認められない部分を天国あるいは地獄へと叩きつけることが好きだった。


しかし、そんな新田に影響され、多くの人が新田の捨てたもの、殺したものたちの輝ける死にざまに魅せられ、彼らを摂取し、成長しはじめた。
そうして、認められた。

新田はそんな人々を憎んだ。


自分は削り落とさないと生きていけなかったものをそうして活かされていることが許せなかった。

しかし、新田は未だに自分の中から湧き出すストレスとも願望とも欲望ともつかないものを削り落とすことしかできないし、未だにそれを自分自身で活かす方法を知らない。


新田には今まで殺してきた自分が羨ましく思えた。

愚かで青くて人間臭い彼らは愛され、貶されながらも同情される。


けれど新田は死にたくないし、殺されたくない。

人間臭さは殺される原因、付け入られる弱みだから、潔癖な新田自身はそれを切り捨てないと生きていけない。


だから今日も彼は殺す側にまわる。
湧き出る人間らしさを必死で殺す、鬼気迫る様子は、普段の新田からは考えられないほどの人間臭さを持っていた。





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最終更新日  2017.12.07 18:58:07
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