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カテゴリ:◎2次表
彼女は、携帯を拾った。
それが地獄の幕開けとも知らずに……。 『ダダンダンダダン・・・ダダンダンダダン・・・』 「ねえ、これ、どうしよう……」 「先生に届けたらいかがです?」 「こういう時に限って先生捕まらないし職員室閉まってるの」 「誰の携帯?それ…その…不気味な呼び出し音が鳴ってる…」 「分かんない…」 攻撃力はずば抜けているが防御力は紙な彼女に二つ折りのそれを開く勇気などない。 「…もう一度置いて来たらどうでしょう。例のあのクラスなら、きっと面倒ごとを引き受けて下さいますよ。それに、あのクラスなら失うものはないから大丈夫でしょう」 「ううー…押し付けるのは気が引ける…」 続いて、着信音が鳴りやんだと思ったらユーガッタメールの嵐。 「やだやだやだ怖い怖い怖い」 「呪われてそうですね」 「何の飾りもないのが逆に怖いよね」 「―――――この音は…」 聞きなれた耳障りな声が彼女達の耳に届く。 「ゲッ!生徒会長!!」 「こっちの台詞だ問題児トリオ」 「あたし達は問題起こしたくて起こしてるんじゃないんだけど」 「親が揉み消すことを分かってるから慎重にならないんだろうが。同じことだ」 「なんですって」 ずかずかと歩み寄ってくる生徒会長に、自然庇うように第一発見者の彼女は携帯を抱える。 「とにかく返せ。それはオレのものだ」 「……この鬼電来てたやつ?」 「…………遅かったか…」 生徒会長は無作法に彼女から携帯を奪い取るなり、走りながら携帯を弄り始めた。 「くそ……あーもう……」 「……どなたからの着信でしょうね…?」 「あいつの家、親が厳しいらしいしそれなんじゃないかな?」 「彼女かも?」 「ないない。あの無神経に彼女なんて」 しかし、あいつをあれほど焦らせる身内なんて、どんな人間なんだろう? 彼女は平和な昼下がり、しばし考えるのであった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.10.23 23:13:05
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