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カテゴリ:◎2次裏書
わたしにとってかわろうとするあの娘が嫌いだった。
わたしより後にやってきたのに、わたしより後におばあちゃんと出会ったのに。 全部あの娘が持って行く。 死んでしまえと思ったこともある。 あんな世界滅んでしまってせいせいした。 ******* 不要な子供 ******* うじうじして、自分の意見を言えなくて。 そんな自分が嫌いだったから変わろうとした。 目が覚めた時目の前に居た女の子は、過去の自分と似ていて、だからいじめた。 ライバル?向上心? …くだらない。 そう思ってあの場所を出たわたしを、懐かしい背中が待っていた。 素直になれないわたしを、その人は包み込むようにして穏やかにしてくれた。 その人が困っている時、わたしもいつか包み込んでやるわと決心したのが、12の時のこと。 * あれから、1年、4年経った。 わたしのアタックにその人はまだ揺らがない。 せめて息子が一人前になってからやとか言ってるけど、うかうかしていたらあの女性にとられてしまいそうだから嫌なのよ。 ただでさえ最近、行方を誤魔化す外出が多いし。 * わたしの力は、あの娘ほど強くない。 だからあの娘にその行く先を訊こうかと何度か思ったけど、それでもやっぱりプライドが邪魔をした。 「心配することはないですよ」 ……訊かなくても向こうから察していってくるのがむかつく。 でも、安心したのも事実。 「……分かってるわよ。あの人にそんな度胸ないもの」 あと数年もすればイチコロよ。 ふふ、と笑うあの娘にイラッときて、つい意趣返しに口を開く。 「……それよりも、あなたはどうなの。想い人が行方知れず、死んだことになってるなんて……心配じゃないの?」 「…優しいですね」 「べ…別にそんなんじゃないけど!?」 全く、調子が狂う。 …あの娘といい、話題のあいつといい、何か詳しく知りたいわけでもないけど、勝手にそこかしこから情報が入って来る。 唯一の同年代の男も何か複雑そうな顔をしていたけど。 うまくフォローしてあげるほどわたしは優しくも大人でもない。 「あの人は……生きていますし、そこでは、この村よりは居心地がいいようなので……もう、いいんです」 「……」 「……」 「最近生まれたあいつの子供」 「……」 「やっぱり、居場所がないのかしらね」 わたしは本家、あの娘は分家。 たったそれだけの違いですら、扱いと期待に差が生まれた。 苗字の残り少なくなったこの世界では、どうなるのか。 「……作ってあげたいですね」 「別に。わたしは誰だろうと子供は苦手だからどうでもいいわ」 「ふふ。……でも、納得いかない、嫌な目に遭ってるのを見たくないって顔です」 「……」 生まれた時からの扱い。 貰えたはずのもの。 持っていたけど奪われたもの。 恨みは全て、持っている人に向かう。 わたしは自分が好きじゃない。 特に、昔の自分は。 だから、そんな姿、もう見たくないと思うだけ。 「……目障りなのよ」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.11.13 16:44:22
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