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カテゴリ:◎2次裏書
人は元来話したがりであると聞いたことがあります。
けれど、私にとっては話を聴く方が向いていました。 だからこそ沢山の人のお話を聴き、占い、少しでも心の支えになれたのではないかと思いました。 そんな私が、初めて嫌がられても話をもっと聴きたいと思ったお相手が、彼でした。 ******** 要因の千里 ******** 私が久方ぶりに彼にお逢いした時、彼は私を見ると手を隠しました。 「……どうか、したのですか?」 「いや、なんでもない」 彼の口癖。 十月十日後、ぴったりの時に生まれた彼の相棒の子を見て納得しました。 その手には、どこかで感じた残り香のようなものがあったからです。 彼と、彼の相棒の奥さんであるあの子。 恋愛関係の感覚はなかったので、私は自然、以前見てきた人々を思い返しあてはめてしまいました。恐らく、彼ら自身そうされたくないから、隠していたのでしょうが。 彼ともし共に暮らせたら。 その人生を見守ることが出来たら。 幸せにすることが出来たら。 そうしたら安心できるかもしれないという一時期の想いが蘇りました。 恐らくこれは、母性や家族愛に類する何か。 けれど、想いがあるからといって、何か出来るとは限りません。 『いい子ぶっちゃって』 私の親戚の彼女には、見抜かれ揶揄われ、どんとぶつかってしまえ、あんたにも人間臭い所あったのね、などと言われましたが。 この人間臭さを、彼にぶつけることに躊躇いもあるのです。 散々人の悪意に、人間臭さに晒されてきたその人に。 一人の後ろ姿が一つの星座のように完成されているその人に。 何ができるのでしょうか。 手相は、そこまで詳しいことは教えてくれません。 私がどう動くべきかも。 彼が何を想っているのかも。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.11.13 15:54:26
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