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長押 綴

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2011.10.18
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カテゴリ:.1次メモ
 やばい、俺最近はげかかってる・・?と気が付いたのは最近のこと。
 まだ俺20代後半だぞ?どんだけ会社のブラックさに弱いんだ俺の頭髪は。
 安月給で買ったなけなしの育毛剤でトントントントンやりながら、「はーよっこらせ」と呟きつつパソコンの前に座る。親父の口癖。最近拾ったサバトラ猫が膝の上に乗ってくる。別に好きじゃねえのに猫にやたらなつかれるのも親父譲りだ。
 このままじゃ、親父みたいにくたびれて早めの円満退職と言う名のリストラをされるかおふくろみたいにくたびれてブラック会社からの解放と言う名の失踪をすることになりかねない。
 あんなブラック会社でも、唯一良かったことといえばガンガン力不足な案件任されるせいでクソ度胸とちょっと怪しいハッカー紛いの技術などなどが身に着いたことだろうか。
 野郎どものマドンナ、秘書の面接時の笑顔に騙された俺だけど毎日秘書の顔(ノルマ確認しにくる)見られるのは悪くない。

 ぽん、と見慣れた白い画面に、じわじわとロゴマークが表示されていく。

『HAT』

 Hは黄色、Aは赤、Tは水色、それぞれ人と悪魔と天使になぞらえデザインされている文字。
 天使と悪魔と人が三つ巴で戦っている世界でそれぞれ互いに仕掛け合いながら維持をしようとするゲーム。

 日々のストレス解消手段はもっぱらこれだ。
 俺はこの殺伐としたMMOオンラインゲームで今日も親父のようなオッサン共、弟のようなクソガキ出会い厨共を相手にマドンナを模して夢を見させてやっている。

 天使と悪魔と人が三つ巴で戦っている世界。配属先はルーレットで決められ、納得いかない人だけリセマラしているが、まあ大体勢力は均等に分かたれている。
 「生産」と「略奪」は、その中で重要な手段だ。生産ばかりしていれば防衛ができず、略奪ばかりしていれば自国の文化が育たない。そんな中、仕切り屋の奴らは平和調停に持っていこうとしている。略奪は交換へ、生産時には互いの得やすい物を組み合わせて新しい技術を開発するなど、おそらく運営はこういった展開を期待していたんだと思う。
 俺達だけ楽しめればいいじゃん的な考えで突っ走ってる、戦隊物でいうなら悪役のポジションの俺達ははっきり言って異端、賛同者も年々減っていっている。
 仲間には戦争好きな馬鹿と、MMOオンライン荒らしが好きな馬鹿、祭り好きな馬鹿、友人のために協力する馬鹿、そしてそういった仲間内で祀り上げられるのが好きな馬鹿ー俺のことだーばっかり。

 今までに何度かスパイとして男から女まで入ってきたが、全員看破してたたき出した。勿論何人かのスパイへの賛同者、裏切り者は現れたが、そいつらをヘイトの的にして俺達は更に団結を深めたのだ。闘うのがルールにあるんだったら、戦わなくちゃ損だろ?

 因みに悪の首領補佐的立ち位置に立つ俺のキャラ付けは才女のダークエルフ。悪魔サイドで少々広めの領地を治める。びしびし部下や領民に当たりつつも、自分の想った通りの成果を上げてくれれば多少のリップサービスはしてやる。顔の見えるリアルはともかく、見えない場所じゃあちょろいもんだ。会社ではドMプレイエンドレスリピートだから、Sっ気のある俺としてはこっちの方が性に合っているんだろう。今は放置プレイが少々多いが、首領が変態な廃人なので問題はない。グループ内の最初に寄って来た暇人(首領)があまりにも変態だったので適当にSMプレイもどきをしたら喜びやがったのが全ての始まりだったし、現状もこいつのお蔭というかこいつのせいといえばそうなんだろう。

「さーて、今日もお知らせチェックしときますか…」

 ルールが変更になっていたりすると、ぎりぎりセーフだと思っていた行為がアウトになっていることもある。過去に初心者狩りが禁止になった時、仲間の経験値馬鹿一人が犠牲になったのは痛かった。
 また、天界サイドにもヒトサイドの過激派とは懇意にしている(戦争屋的な意味で)ため、そっちから状況を確認しないと

『あなたの統治のやり方は、我々MMOオンラインゲーム「HAT」において離れるユーザーを多数生み出しました。ですが、一方で長引く戦争を人工的にオリジナリティを持たせ作り出すことで、一部のプレイヤーには飽きさせない効果ももたらしました。よって、あなた方をNPCに任命したく、つきましては適性審査を行わせていただきます』

「え……っ!!?」

 瞬間、ゲーム開始時のようなまばゆい白い光が世界を包み込んだ。





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最終更新日  2016.09.02 03:41:09
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