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赤黒いものが目の前を散った。
「油断しているからこうなるんだ」 あまりにも冷たいこの世界で、俺達は強くならなければならなかった。 俺達はただの少年少女だ。大人になりかけとはいえ、その力はあまりに弱い。 けれど、闘わなければならないのだ。なにかもわからない相手と。 心を壊す者、体を壊す者、友情を壊す者、この世界に優しさはない。 それでも歩まなければならないのだ。 ある者は金の為に、ある者は家族の為に、ある者は自らを高める為にこの戦に挑んだ。 けれどみな、心が折れてしまった。 俺は仲間たちを助けたかった。せめてたった一人の戦友だけでも助けたかった。 それでもそれは無駄なあがきだった。気づけば俺だけが立っていた。 ここにはなにもない。なにもないのだ。俺がかつて良いと思ったものさえ焼け野原になってしまった。 だれかたすけてくれ、進む道を示してくれ。 声は風に揉まれ、俺自身の耳に最後に戻って、消えてしまった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015.12.17 18:51:58
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