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長押 綴

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2012.01.02
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カテゴリ:◎2次裏書
弱い者虐めは嫌いだ。

だが、誰が弱く誰が強いかなど俺には分からん。

身体の強さ。
知識の強さ。
精神の強さ。

こうした別々の強さもある。
だから俺はそうしたことを判別することが苦手だ。

俺は鈍いし頭も悪い。
だが「誰を守るべきか」だけは、分かると思う。
俺にできることは守りたいものを、守りたい人を守ることだ。


*******


*******


「絶滅寸前の保護動物の交配みたいね」

仲間が次々と結ばれていく様子を、俺の一番守りたい人はそう話す。


プライドが高く、強気で賢く運動能力も高い。ついでに言うなら支配力も高い。
自分の何が強みで何が弱みかを認識している。

そんな彼女を守り抱ける男になろうと今は努力している。
俺の努力は見当違いと言われ、結局は彼女にされるがまま10年以上経ってしまったが。



そんな何でもない日々の中、一つ不穏な影があった。

「……あのままでいいのかしらね」

彼女が目をやる相手は、最近ではいつも同じだ。

「……あの子のことですね」

夕方、子供達は楽し気に遊びながら声をかわしそれぞれの家に帰っている所だ。
四人の子はそれぞれ12、10、8、7歳で、別々の年齢だけど楽しく遊んでいた。

そんな中、一人だけぽつんと大人のする仕事を手伝っている少女が居た。
たった7歳のその少女は、10歳の兄の帰りを待ちながら、家の外で籠を編んでいる。
他の子供達が気にかかっているのに、顔を上げないようにしている。

「ああいうの、好きじゃないんだけどね」
「あの子には罪はありませんからね」
「そう。……よく無知は罪とかいうけど、知らなくていいこともあるわよね。
 だけど、知らないままじゃどうにもできないわ」
「……」
「あたし達みたいな誰に対しても厳しい人間に、あの子懐くのよ」

溜息。それが何のせいなのかを考えつつも言えない声色。

「……」
「何があっても、どんな人間でも、命の危機があったら助けるあんたにも懐いてるわね」
「…そうですね。……どうにもできませんが」
「ええ。……どうしても、あいつが頭を過る」

彼女が目を伏せる。
あいつ。

俺達のガイドを殺し、その後しばらくして一時期俺達に同居を提案したあいつ。
……あいつの相方が看取ったという、あいつ。

あいつと少女は生き写しだ。
性別を除けば。

性別がもし同じなら、犯罪者予備軍として扱われても不思議はないくらいに二人は似ている。

だけど、それでもあの少女は守らないといけない。
あの少女は被害者だ。

そして、あいつと同じく有能だから、無用な知恵を与えないようにと、無用な仲間を与えないようにと縛られているからこそ、俺達のように誰に対しても等しく接する者が居ないといけない。







俺と彼女の間に生まれた子はとてもいい子だった。

俺みたいにお人好しで、彼女みたいに弱音を吐けない。

だからこそ、周囲が気付けなかった。

消えた少女に、あの子は懐いていた。
そして少女を追って消えてしまった。

あの子が生きていることは知っている。
二人目の子にも、それは教えた。
だけど、それを公には言い出せない。

あの子が死んでいた方が仲間にとっては好都合だから。


俺は、俺達は。

誰を、何を守るべきなんだ。
Last updated 2017.11.12 18:42:01





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最終更新日  2017.11.12 22:46:30
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