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カテゴリ:◎2次裏書
人間関係の四捨五入ってあるよね。
******* 人との付き合いや、勉強趣味の続行で 「これ以上行ったら続ける」 「これ未満だったら損切り」 っていう行為をみんなしてるよね。俺もきっとしてきたから分かる。 そして大抵の場合、特に人間関係なんかではそのラインははっきりとは示されてない、示してないんだよね。 場合によっては自分でも把握できてないから困るのなんのって。 切り捨てられる側かつ切り捨てられたくないという気持ちを抱いていたら辛いし。 五になるためにがんばってたら四になってしまっていたという場合も辛いし。 切り捨ててくれよと思ってるのに五を選択されても辛いし。 全く人間関係って困るよね。 本当はもっと細やかだったり優しかったりわかりやすい指標を示されてたらいいのになあ~なんて思ったりしちゃってね。 でもおおざっぱじゃなかったらパンクしちゃうよね。 なんて思ってた。 責任がないからいいと思ってた。 彼女と恋仲になって、お父さんになって、家族だけには責任を持とうと思った。 何があっても、何を犠牲にしても守ろうと。 だから、あの娘のお父さんには少しシンパシーも感じてた。 こんな世界に俺達を送ったことへの恨みはやっぱり少しあったけど。 逆に俺達をいつもどうにかしようとしてくれてた、この世界でお父さんのように在ろうとしてきたあの人を殺したあいつは、赦すことが出来なかった。 * 今日も今日で彼女と娘の為に食料を獲る、資源を集めて家の材料にする。 いつもあった朝の差し入れがなくなって、それが最近死んだ奴のやってきたことなんだと悟った、だけど俺達は俺達でやるさと思い続けた。 切り捨てたから頼らない。 彼女と娘を守る為に、村長の二人に盾突いた時のことが頭を過る。 自分を殺して生き抜くか、リスクを冒してでも新な存在の誕生を守り抜くか。 三年、三年少しずつ変わる状況の中で耐え抜いたから、だからもう限界だった。 俺はいつもへらへらしてたけど、あの時だけは、フルに自分の運動神経を活用した。性格の悪さも発揮した。それで守れるならお安い御用、倫理観なんていくらでも捨ててやるさと思えた。彼女がその度に泣きそうになるのが難点だったけど。ま、それでも一応あの娘たちも味方になったし、俺達のチームは結託しなおせたし、結果オーライ。 ……だけどあの後、あの人が奴に殺された。 あんな所に踏み込んだから。 あんな所で暴れまわったから。 そう思う気持ちをどうすればいいのか分からなかった。 それなのに皮肉にも彼女が一番落ち着けて、これまでの愚痴をあの娘に吐けたのは、奴が同居を提案したお蔭だった。 あの後、あの娘に怨恨から暴行しようとしたこと、そしてあの人を殺したことから奴は追い出された。 ……奴らが追い出された後に山火事が来て、そして信じた相手が行方不明になって、俺達皆ばらばらになって。 あの時みたいにならないか、正直今は少し不安だ。 だけど、自立しなくちゃいけない。 『××くんて』 責任を負える人間にならないといけない。 決断も、判断もできるようにならないと。 捨てた先、ある色々な大変なことも、担う覚悟を持たないと。 ……まあ、楽出来るもんは楽するし、利用できるもんは利用するけどね。 そっちのほうが彼女と娘の為になるのなら。 あいつが父親になったと聞いたり。 あいつが死んだと聞いたり。 そんな時も、彼女と娘がどう思うのかだけが心配だった。 彼女は俺と違って、切り捨てるのが下手だから。 彼女の親友がフォローしてくれてるけど、だけど俺もどうにかしたかった。 * あれから数十年。 俺と彼女の娘も今や家族を作ってる。 未だに安定しきってるとは言えないけど、ま、そこそこ満足できる結果だと思う。 じいちゃんばあちゃんと懐いてくれる子供達が可愛くてならない。 俺は相変わらずちゃらんぽらんで、基本無神経気味で。 それでも、大事な所は頼れる奴になってきたと思ってる。 だからこそ、最近新しくできたらしい場所に、集団で行ってみようかと言い出す若者を止めるのが俺の最近の仕事になりつつある。 昔俺達もやったことだった。 守るために、新たな幸せを、安定を手に入れる為に。 でも、リスクは高かった。大きな犠牲を支払った。 今回もきっと、近いことが絶対にある。 昔の自分だったらもう少し考えなしだったのかもな、なんて思いながら。 でも昔もこうしてどっちにもはっきり言わない奴だったな俺は、なんて思いながら。 今日も俺はへらへらとしながら、家族を、村をー…切り捨てたくない人達を、見守ってる。 Last updated 2017.11.12 03:41:22 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.11.12 22:47:12
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