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カテゴリ:◎2次裏書
あいつが死んだと聞いて安心した。
あたしの親友を泣かせたそいつを許せなかった。 喩えどんな過去があっても、それだけはやっちゃいけない。 あたしの親友は、いつも正しい親友は、今日もあいつへの同情票に身を削られている。 可哀想なのは親友だ。 ******* 枢要な認識 ******* あいつの存在を知ったのは、親友の愚痴からだった。 だからもう一人のマブダチと一緒に愚痴に付き合ったり対策を練ったりした。 あいつの顔を見た時は、その悪気のなさそうな顔、悪い事なんてしたことありませんという顔が鼻についた。 そういう顔は親友だけがしていい顔なのに。 * あいつが女の子を孕ませて逃げた。 よりにもよってあいつの相方のお嫁さんを。 ……あいつの相方も相当問題持ってるから、相方の奴が何か仕組んだんだろうとは思ったけど。 全部あいつがやったと考えるほど、あたしもマブダチも単純な世界で生きては来なかったから、あいつもあいつで大変かもしれないとは思ったけど。 それだってそもそも、あいつが相方をうまくいなせなかったせいだ。 あいつが全部悪い。 だけど、こうして恨んで叩きつける自分に時々疑問を抱くこともある。 親友は被害者だ。 親友の彼氏は親友を守る為の盾だ。 マブダチは親友を守る為の武器だ。 だけどあたしはどちらにもなりきれない。 人の面倒を見ることが昔から好きだったけど、その相手はいつも一緒じゃなかったし、マブダチほど割り切れないから、あいつもあいつで大変だったのかもしれないなんてことを考えてしまう。これは親友への裏切りだ。 * だから、あいつがー相方に引きずられるようにして帰ってきたあいつが、事故に遭って死んだのはむしろ、あたし達、深く色々考えてしまいそうになる人にとっては好都合だったのかもしれない。 最近はあまり話をしていなかった、話を訊くことが出来なかったと、洞窟の中であいつを庇った娘は泣いていた。 そうだね、でも。 死んだからこそ、少しだけ、少しだけあいつの話を冷静に聞けるよと思った、そんなあたしは悪人だろうか。 親友に、聴くべきとは言えない。 あの子をあれ以上傷付けたくない。 だけど、残された子供達を、次世代に続く関係をどうするかと考えると、何か言わないければ、伝えなければならないことがあるんじゃないか、なんて、最近考えてしまう。 医者見習いとして、内戦で色々な話をきいてきた。 すれ違いとか、逆恨みとか、怨恨の連鎖とか。悪意がなくても見捨ててしまう人とか、正義感の暴走とか。だから、今度の話にも被害者、加害者、両方の立場で考えてしまう。 そして、今日もあたしは傍観者だ。 Last updated 2017.11.12 03:02:23 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.11.12 22:47:57
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