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「その挙式ちょっと待った!」
それを言われるのはあたしのほうじゃないのか。 * 親の持ってきた縁談、良い所のお嬢様なんだから一応形だけでもと言われ会わされた相手は、最近めきめき力を着けてきた父の部下。 「筌一郎です。よろしくお願いいたします」 幼い頃から続く英才教育にレールの敷かれた人生、こんなもんだと思って承諾をした。 相手の顔を見る勇気はなかった。だって私は父の秘書の畝痲さんが好きなんだもの。どうせ結婚しても仕事仕事で顔を合わせることもないだろうし。 そう思っていたら、これだ。 「その挙式ちょっと待った!」 「せ、畝痲さん!?」 「筌!ごめん、俺はお前をあきらめきれない!!!」 ーーーは? * 「ひっ…ひっ…うぇえええん……」 「そっかーあんたんところもか……」 「え、舘も!?」 「……そっか、あんたあの時遅刻したんだっけ…私の場合は、思いっきり年下の少女に略奪されたわよ。7歳よ」 「あれは可愛かった」 「他人事だと思ってニヤニヤしやがって…あんたの結婚式が中止されたのも駆け落ちが原因でしょうが」 「祢戸んとこも!!!?花婿が謎の病気で倒れたって聞いたけど」 「あたしんとこは、うちの腹違いの妹と婚約者が駆け落ちしやがったからね、周囲はもみ消すのに必死よ」 「…………なんか、真面目にレールの上走ってんの馬鹿らしくなってきちゃった」 「私らも失踪しちゃう?」 「いや、流石にやり手部下やら愚弟が失踪したのにあたしらまで消えたら社員超困るじゃん」 「「「…………はぁ~」」」 もういっそ、駆け落ちする必要がないような世の中にしてしまおうか。 そうしたらわたしらみたいな悩みはなくなるんだろう。 「「「よし、改革しよう」」」 そして3人の幼馴染たちは、後に結婚の垣根を無くした三傑として語り継がれるのであった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016.05.03 22:31:51
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