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長押 綴

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2012.10.12
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カテゴリ:◎2次裏書
初めて聞いた名前なのに、どうして懐かしい気がするんだろう。




その名前は聞きなれている。




ぼくは昔から誰かに似ていると言われ続けてきた。


女顔だからお母さんに、赤い髪だからお父さんに似てるねと言っても空振り。
そうね、そうに決まってると誤魔化すように返される。


ぼくは誰に似てるんだろう。


この世界で死んだ誰か?
それとも、前の世界で死んだ誰か?





ずっと会いたかった。




5歳年上の村で一人孤立している子に、ぼくだけは近付いちゃいけないって言われてた。
そのお兄さんやお父さんはこっそりよくしてくれと言ってきた。
だからどうすればいいのかよく分からなかった。




その子は、似てるけど違った。



その子が15歳になって、その子の13歳年下の弟が活発に歩きはじめる頃には、どうしてその子が孤立しているのか、なんとなく分かるようになってきた。
その子は、「ぼくたちの仲間」を殺し、村中をかつて怖い態度で支配した人の娘だった。
その子が喋れないこと、何も知らないことはその子を無力にすると同時に守ってもいた。

僕は、お母さんとお父さんのダメダメな所をそのまま受け継いでしまったらしいから、その子が困ってる時に助けられない自分が悔しくて仕方がなかった。



僕はいつも無力だ。
力を借りないと何もできない。



初めてその子を助けられたときは、周りに誰も居ないときだった。
他の誰にも頼めないから助けたのに、あの子はとても嬉しそうな笑顔を僕だけに向けてくれて、胸がざわりとした。



大事な相手が壊れていくさなか、心配で助けたくて立ち直ってほしい気持ちに、「僕が居ないと駄目だ」っていう事実へのドス黒い歓喜が根っから沁みついていた。








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最終更新日  2018.02.14 04:57:35
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