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--春に咲いた花--花は上を向いて笑った--
「大丈夫。私は大丈夫だから、頑張ろう」 あいつが、また独り言を漏らしている。 「…ふ、怪しげだね」 「そっちは、大丈夫?」 こっちに色々聞いてくる必要ないよ、うざったいな。 --青い夏の蕾も-- 初恋だった。 --咲かない-- 大好きだった。 大好きだ。 なんで諦めなくちゃいけない。 でもこっちから言ったんだ、ばっさり切るなら切り捨ててくれと。 「何で僕が大丈夫じゃないの?…包丁持って走り出しそうにでも見える?僕」 「……だってあなたは、だって、最近何もしてないじゃない」 「君と違って、バイトとかで忙しくする必要ないからね」 「……そりゃ、そうだけど」 無趣味だった僕に唯一あったのが、肌のぬくもりを確かめることだった。 けれどそれはあの人を知った後だと気持ち悪くしか思えない。 あの人が。僕の運命の人だと思った。そうであってほしかった。 けれどあの人には相手が居た。 僕よりもずっとしっかりしてそうで、刃物なんて持ち出さない、かっこいい人。 僕にとってはどうしようもなくむかつく奴だけど。 「あー、ほんとむかつくなー」 「変な方向に突っ走らないよね?信じてるからね?」 君に信じられても。 「大丈夫だって。君の好きな人には手出ししないし、僕の好きな人にも手を出せない。出来るのはちょっとした邪魔くらい。……君がそうなようにね」 「……うっ……」 それでも何でか、違う人には目が行かないんだよな。 「ねぇ、一発やってみる?まあやっても気が晴れないし忘れられないだろうけど」 「それ分かってるならなんで提案したの!?無理無理、お互い無理でしょ!」 「目を瞑れば出来なくはない」 「そこまでしてやりたいの!?」 相変わらずハイテンションだなこいつ。こいつのこれを受け止めていた、あの男の顔が頭を過る。 まあ、そいつも今やこいつの手の届かない場所に居る訳だが。 「冗談だよ」 そう言うとあからさまにほっとした顔。 「……んー、バイト代出たらさ、どっか一緒に遊びに行こうよ」 「お互いあの人ともし一緒に来てたら…とか想い続ける一日でいいんならいいけど」 「分かってるよそんなこと!言わないでよお願いだから!!!」 しつこいほどにネガティブ発言を繰り返す僕、とにかく新しい事を提案してそれで過去をひとまず覆おうとするこいつ。天然だけどここぞと言う時は僕を引っ張って言ってくれたあの人や、ワイルドなあの男とは全く似ても似つかない。 はあ、どうなることやら。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015.11.17 02:43:43
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