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金さえあれば何でもできる。
そういった考えは今の世の中そう珍しくねえ。 金があれば見せかけの人気は得られるとかそういうんじゃなくて、 金があればたくさんの研究費やら資料費やらに費やせるとか、 金があれば生活に余裕ができるから趣味に走りやすいとか、 もっと根本的なことを金は支えている。 だけど、こんな場合は金というものがどう関わっているのか分からない。 「ありがとうございます」 「あなたは神様です」 「いえ、そういうわけではありません」 なんか観察の田中がやたらさっき助けたばあちゃんたちに崇められている。 観察の田中は相変わらずのポーカーフェイスだが、早く離れたいという少しぴりぴりした空気がこちらにも伝わってくる。それでも無理に離れないのはあいつの優しさというところか。 「シュー」 とうとう、見かねたワタが威嚇しはじめた。 だが。 「あら、蛇「蛇ですって「まあなんて「きれいねぇ」 怒涛の言葉、次々に食い気味に押し寄せる彼女らによって一瞬でワタは固まってしまった。 ばあちゃんもおばちゃんも年を食った女性は何でこんなに強いんだ。 「こんな蛇を連れているのなら、余計に神様にふさわしいわ」 「……だから、何故さっきから神、神と」 「……?」 おばちゃんの様子がおかしい。 いや、もとから結構おかしかったが、これはなんというか…… 「……何か、目的でもあってやたらそいつを崇めてんの?」 「あら、そちらさんは弟さん?」 ちげーよ。 つーか質問に答えろ。 あと何で俺のほうが年下扱いなんだよ。 「まあ、そんなもんだ。何でそ…兄貴を神様って呼びたいわけ?なんか、ただ単にお礼言ってるようには見えないんだけど」 「お礼を言うことの何がいけないの?「神様のように思えるから神様とみて何がいけないの「素晴らしい神様を神様扱いして何が悪いの「神様、言ってやってください」 「……」 「…………」 なんだ、この違和感は。 「その……うち帰ろう」 「ああ」 カミサマは至極当然のことを俺に言い、少し戸惑い気味ながらもワタと一緒にこっちに近づいてきた。 だが。 「カミサマ「かーみーさーま「神様ぁ「神様」 そいつらはがしっと神様もとい観察田中の服を腕を腹を脚を掴み、そして。 「「「「私たちもついていってよいですか?」」」」 老女がばあさんがおばさんがおばちゃんが仲間に加わった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015.07.17 19:17:50
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