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長押 綴

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2013.06.27
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カテゴリ:🔗少プリ
 僕の望みはただ一つ。恵が幸せになることだ。



鍵屋崎直は人生をやり直しましたーーーcase:1



※九租界爆発しています。










 九租界の爆弾は、結局為すすべもなく爆発してしまった。
 最後のあの日、僕は結局斎藤を殺すことも出来ず、それでもこのまま斎藤が死んでいくのなら外の恵は安全なのだと目を閉じた。唯一、僕を抱き締めるサムライの鼓動だけが瓦礫の崩れる音よりも大きかった。ああ、もしももう一度人生をやり直せるのなら。
 そうして僕は走馬灯を見ながら眠りについた。
 走馬灯は何故か、ここ2年近くの同じ穴の貉、サムライ、ロン、レイジ、ヨンイル、安田、リョウ、ビバリー、五十嵐、ワンフー、老医師、凱、静流、はじめ……彼らが頭を巡った。
 ああ、先に逝った筈のリュウホウが何か言っている。その相手は僕ではなく、何かもっと大きなーーーーー




 そして僕は、どこかに投げ込まれた。重く籠ったような水音と、たゆたうような感覚にゆらゆらと流されながら瞼の裏をずっと眺め続ける。ずっと見ていたい。握りしめた小さな手の温度。……守らなくては。僕は、この子の為に、生きなくてはいけない。




 気が付いたら、僕は白いものに包まれていた。白い天井、見下ろせば白い衣服、見渡せば白い服の人々。冷たい鉄、錆と泥に塗れた生前の世界では保健室くらいにしかなかったものたちが溢れている。まさか僕は天国にでも来たと言うのだろうか。

「先生。鍵屋崎直、目を覚ましました」
「脳波は…とれているな」

 脳波?ああ、そうか。あの爆発で気を失った僕たちが救助部隊にでも発見されたということか。国の上層部にも人間らしさはあったのだなと思う。そして同時に天国と考えた自分の愚かさを笑う。ヨンイルに影響され過ぎたな。いや、サムライかもしれない。
 そうだ、彼らは無事か?僕だけ生き残っても…いや、恵を一人にするわけにはいかないから、僕は生き残らねばならないのだが、それでも彼らは生き残っていてほしい。そうでないと僕が困る。…それにしても、体が全く動かない。声もろくに出せない、頑張っても「あ、う」などと不明瞭な言葉ばかり。それに、頭もいつもに比べろくにまわっていない気がする。みな、ぼんやりとしか思い出せないのだ。恵の縋る目、サムライの鋭い声といった局所的なことは覚えているのだが、その前後が思い出せない。まさか事故の影響で脳に影響が出たのだろうか、嘘だと言ってほしい、頼む早く回復してくれーーーー……

「ほう…生後一週間で、ここまで早い脳波を出すとはな。規則正しくはないが、成長すればきっと……楽しみだ」
「「教育」も早めにはじめられそうね」


……は?





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最終更新日  2016.08.20 22:40:27
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