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カテゴリ:🔗少プリ
今日も道化の秘密の部屋は忌まわしいオーラを放っている。
「全く貴様は、もう少し整理しろ」 「えー、これでも前よりはマシになっとるし、散らかっててもよく読み返す本の場所は暗記しとるし」 「もっと他のことに脳の容量を使え。掃除したほうが……君が扱う場合はともかくとして、僕含む他の囚人にとって本を探しやすいのだから」 指摘した矢先。もしかしたら言い争いの言葉の振動が最後の一押しをしたのかもしれない。 図書室のヌシの頭上で―――さながら雪崩れの予兆のようにぐらりと本が動く。 「ヨ」 その先は言葉にならなかった。 どさどさどさーっ 道化は逝ってしまった。手塚の、漫画の理に導かれて。 西の道化こと図書室のヌシにはどうか安らかに眠ってもらいたい。 「――――って死んでへんわ!!」 「だろうな。冗談だ」 「直ちゃんの冗談心臓に悪いわ・・・」 ヨンイルがよっこらせと本を億劫そうに、これ以上崩れないように慎重に動かしていく。 本に余計な傷がつくのは本位でないので、僕も手伝ってやる。 「いつも本にあまり敬意を払っていないから逆襲に遭ったんだ」 冷たい声で言うと、 「ううー・・・一応直ちゃんにお説教されてから気ィつけとるんやでー?」 道化の名は伊達ではないといったところか。 そう、全くダメージを受けていない風体でのたまう。 「君の言葉は本当か嘘か分からない」 本を一先ず空いている棚に立てる。 「いやいやいや俺はいつもめっちゃ素直やで」 同じシリーズの本を発見したら優先的に同じ棚に入れ、その他はある程度覚えのある場所に置いて。 「そうだな、無邪気で素直すぎるんだ。そのうえで複数の考え方をしているから手に負えないわけだ。 例えば掃除をすると言っては途中で昔はまった本を見付けたから読み耽る、人から本を取り立て持ち帰っては再びその本に熱中する、その本を読んで更にそれと関わりのある本を読む… 貴様はその時々全てで夢中だからこそ手に負えないんだ。結果的に掃除が捗っていないじゃないか。現に今」 同じシリーズの本が溜まってきたら独立させる。少しずつ片付いていくことに快感を覚える。 「まぁまぁ落ち着いて・・・あ、この漫画ここにあったんや、そや、これも直ちゃんに薦めときたい本でなー・・」 「分かった。君が落ち着きがない性格だということは十分にわかったからまずは掃除を優先しないか、 何故その漫画をパラパラと捲る、好きなシーンで下品な笑い声をあげている! 僕とて好きな作品に熱中し気が付いたら数時間経っていることはままあるが、それでも整理する際は我慢するというのに・・・・・・・没収だ。」 僕の目の前に道化が居ることが幸いした。本を踏んだり掻き分けたりということは余りしたくない。 「ああああああーっ、今いいとこやのにー!!」 図書室の主が情けない喚き声を上げる。自業自得だ。 「僕に薦めるならば忘れないうち、というか貴様がこの本に没頭しきらないうちに 僕に渡しておくのが賢明だろう」 「うー、でもまあ直ちゃんが読んでくれるならええわ。後で萌え燃え談義しようや」 「それは別段構わないが、この本の続きをちゃんと探し出すことを優先しろ」 「分かった、分かったて。あ、そや、これも面白いんやで!」 「………」 ・その後突っ込み(物理)をしまくった直ちゃんの手首は強くなったとかなってないとか。 大遅刻ハピバ 7/21 ヨンイル! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.08.31 20:06:29
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