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長押 綴

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2014.08.23
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カテゴリ:🔗少プリ
寝れねえ。


明日はキャンプだ。朝は5時起き。確実に一人じゃ無理、だから早く寝なくちゃいけねえのに寝れる気がしねえ。

くそレイジのせいだ、あいつときたら鍵屋崎が見回りに来るまで
上がりきったテンションで寝ようとする俺にちょっかいかけやがって、
しかも当の本人は現在平和な顔でぐっすり眠りこけてやがるのが余計にむかつく。

天井を見上げるが、そこには変なシミだけが浮いていて余計に気になって眠れなくなる。
目を閉じるがやっぱり眠気は来ない。暇だから昼間のことでも思い出してみる。



・・・・・・


「虫除けスプレー、蚊取り線香、虫防護服」
「ちょっと待てその防護服俺らも着んのか」
「救急セット水洋服石鹸」
「多すぎんだろそれ、何日分だよ!」
「備えあれば憂いなしだ」
「備えすぎだろ」

鍵屋崎に突っ込みを入れつつ、テントとか椅子とかガスバーナーとか食料とかを車に詰め込む。
後は個人の荷物を入れるだけだ。

「……っておい」
「…それ、何が入ってるんだヨンイル」

俺とレイジの声が重なる。

「何て、決まってるやん」

しゅるしゅると紐をといて中身を取り出したヨンイルが差し出したのは、
予想通りというか何というか沢山の漫画本。

「これとかこれとかお薦めやからキャンプ中にお前らに薦めたろ思うてな、あこっちはまだ読んでへんから俺用やけど」
「……家に置いて来い」
鍵屋崎が頭痛を起こして頭を押さえる。そりゃそうだ、ヨンイルの個人荷物は多分俺達の個人荷物を合わせたよりも多い。
「直ちゃんかて本沢山持っとるやん」
「これは君と違って娯楽用ではない、実利用だ。何一つ無駄な物はない、キャンプのhow to本、快適キャンプの薦め、キャンプの全て、キャンプの教科書、野生の動物への対処法、初心者用の…」
前言撤回。
「多いなオイ!」
「おいおいそれも結構余計じゃねーかキーストア」
「は?何処が余計だというんだ、ひとえにキャンプといっても沢山の問題が発生する。物の紛失、料理を手早く行う方法、山火事が起こった時の対処法、子供が川に流された時の対処法、死体を発見してしまった時の対処法」
「直ちゃんそれはいくらなんでも備えすぎや。特に最後とかまずないわ、その本も大概マニアックすぎっちゅーか直ちゃんなら暗記できるんやない?わざわざ持ってく必要ないやん」
「僕は問題ない。これらの内容は全部暗記してある、だからこれは君達用だ」


・・・・・・




「ねーよ!」






……やべえ、つい突っ込み入れちまった。余計目が覚めた、くそ。
結局あの後サムライも交えて厳選した結果、なんとか持っていくハウツー本は2冊になった。
それでも分厚いやつだが。
因みにヨンイルの漫画は三分の一に減った。
レイジのエロ本は没収された。

…他になんかなかったか。



・・・・・・


「ロン、起きろー」

うんうん唸ってる内に眠っちまったようだ。

「……」

起きなくちゃいけねえとは思うが、目が重い、頭が痛い。

「ロンー」
「分かってるっつーの…」
「あ、起きた?」
「さっきから起きてる」

不機嫌な声を上げるが、目の前のレイジらしき影はどかない。

「おい、起きるからそこどけよ」
「…つまんねーの、起きなきゃ目覚めのキスするとこだったのに」
「……」

一瞬で布団をかぶって下からはい出る、だがそれを察知したレイジがそっちから絡んでくる。

「うぜえ、おい変なとこ触んな!」
「いーじゃん、ちょっとぐらいスキンシップしてもさー」
「お前はちょっとじゃ済まねえんだよっ!!」


この後起こしに来た鍵屋崎にレイジが昏々と説教されたのは言うまでも無い。





【続く】
-------------

因みにリュウホウ(猫)は老医師に預かってもらいます。





【以下蛇足】


友人にお前の書くレイジってオネエっぽいよなと言われました。

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最終更新日  2014.08.27 11:54:00
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