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長押 綴

長押 綴

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2014.08.27
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カテゴリ:🔗少プリ
ぱち、とたまに何かが弾けるような音が聞こえる。

夜中、妙な夢を見たせいで再び眠りにつくことができず、
居心地の悪い布団の中円周率を思い浮かべていると、ふと動物の声ではない小さな音が聞こえた。
その何かに誘われるように、隣のサムライをおいて外の空気を吸いに出る。黒々とした森と、葉の影に縁取られた頭上に広がる星空に溶け込んでいく感覚。
静かな夜。風は思い出したように、それも実に緩慢に吹き抜けるだけで足取りを邪魔するには至らない。
生温い空気を引っ掻くような音の出所は、強い風が吹けば消えてしまいそうな明り。
本当に小さな音と光を作っていたのはヨンイル。

「あ、直ちゃん起こしてもうた?焚火うるさかったかな」
「いや、平気だ。」

元々寝つけなかったからなと続けるとヨンイルが安心したように笑う。
焚火の前に、折りたたみ椅子を持ってくるときょとんとした顔に変わる。少し滑稽だ。

「僕がここに座ることを制限されるいわれはないだろう」
「いや、別に構わんけど。……むしろ、……」

急に言いよどむ。言いかけて秘匿するなど凡人にしては生意気だ。

「むしろ何だ」
「……んーと…むしろオタク話できるから万々歳や!」
「今何か他のことを言いかけなかったか」
「それは禁則事項です、やで直ちゃん」
「誤魔化すんじゃない」

少し苛々しながら言い返していると、唐突に第三者の声。

「あれ、キーストアにヨンイル。起きてたの?」
「お前も起きたんかい。さっすがの地獄耳やな」
言い争っていたせいか、レイジが起きてきた。
ヨンイルが呆れ顔で呟く。

「…悪いな、起こしてしまったか」
「キーストアの謝罪…!俺夢でも見てんのかな」
「ビデオビデオ」
「撤回する、貴様ら僕の眠気が戻るまで話に付き合う義務を課す」

…結局夜明けまで話し続けた。
普段話さないことから、実のない下らない話、時折訪れる間。
それを繰り返している内に星の位置が変わり、空の色が変わり、時折聞こえる獣の声の種類が変わる。
早いものでもう最終日だ。正確に言えば明日も滞在するが、ほとんどの時間を片付けと移動にあてることになるだろう。この夜を最後にして家に帰ってしまうのかと思うと、すべてが惜しく思えてくる。同時にやっと慣れ親しんだ家に戻ることができるのだと郷愁に近い想いが湧いてくる。近くにはヨンイルとレイジ、彼ら普段から話す相手が居ることが日常と非日常の架け橋となり、空気が逢魔が時や夜と朝のあわいのような現実と夢の境のように変貌する。静かに飲んだ水はどちらの味だっただろうか。

空が白んできた。


「お、朝日や」
「結局徹夜しちまったな。もう眠くねーや」
「……」
「直ちゃんあくび我慢しないほうがええで」
「別に我慢してなどない」



【末】
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明日で最後。




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Q.夏休み最初にやることは?
A 夜更かし. B バイト. C ぐうたら. D 宿題
A >>C >B >D






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最終更新日  2014.08.27 13:58:16
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