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長押 綴

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2014.09.26
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カテゴリ:🔗少プリ

※元ネタとは近いようで遠い展開になります。 元ネタ好きな方すみません



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「……なんか、ここ不気味っスね…」
トンネルに入って何分かしてからビバリーが言い出す。
底冷えと相まってその声は震えかけている。
「何さ今更。びびりすぎだってビバリー、暗いし湿っぽいけどただのトンネルじゃん!
 それに誰かここでポックリ逝っちゃってるわけでもないんでしょ?」
「まあそうですけど……」

歯切れの悪い返事。
でも今回の肝試しは、クッソ真面目な鍵屋崎とサムライ以外は全員事前に知らされていて、
その時調べた限りではこのトンネルには怪しい事件なんて起きていない。
でなきゃ、いくらノリが良いビバリーでも肝試し感覚でなんて入ろうとはしなかっただろう。

「まあ隠された事件とかあるなら別だけどね。実は秘密の隠し扉があって、そこにはお宝とかミイラとか」
「ひっ……やめて下さいよリョウさん」
「ほら、そこになんか居る!」
「え!?」
よせばいいのに、ビバリーが振り返る。
その直後こっちに振り向いた顔は恐怖に歪んでいた…なんてこともなく。

「……びびびっくりさせないで下さいよ!なんにもないじゃないっスか!」
「ごめんごめん。でもさー、そんな嫌なら今からでも戻る?」
笑いながら言うと、ちょっと緊張が解けたらしいビバリーがかぶりを振る。
「そういうつもりはありませんけど……それに、もう5分以上経ってますから出口のほうが近い筈じゃないっスか」
「……そういえば、5分以上経ってるならレイジやロンとすれ違う筈じゃない?もしかして、あいつら何かに遭遇して…」
「noooooo....」
ビバリーが半泣きで嘆く。いじりすぎちゃったかな。
「大丈夫だってビバリー、きっとあの2人のことだから漫才やってるか
 なんかヤってるかのどっちかで遅くなってるだけだって」
「ヤってたらヤってたで見たくないですよ・・・・・・って、あれ?」
「?」
前に向き直ったビバリーが何かに気付いたような顔をする。
その視線の先には………何かの、光?

ずくずくと鈍い音を響かせながら歩み寄ると、思っていたより光が小さく、近くにあることが分かる。
「どっちかが落としていったのかな」
十中八九、わき目も振らず走っていったロンの懐中電灯だろうと思っていたけれど近付いて照らしてみると違う、長方形の斜め上が青い光を点滅しながら放っている。
「レイジの、携帯?」
「……そうみたいっスね」
黒い機体の俗にスマホと呼ばれるそれは、トンネルに入っていくレイジが持っていたものと同じもの。
……何でこんなところにあるんだろう。
「……何かあったんでしょうか」

ビバリーの呟きで、一気にトンネルが物騒な存在になったように感じる。
明かり代わりのものなんて、普通は落とさない。

「野犬に遭遇して投げつけたとか」
「野犬!?」
「いや、例えばだよ例えば」
言いながら拾い上げる。電源を軽く押して、出てきた画面をスライドするけれどやっぱりというか何というかロック画面。因みに背景はレイジのことだからロンの寝顔でも登録してるかと思ったけど初期設定のままだった。何だか色々味気ない。

「ビバリーこれ解除できる?」
「……それは流石にアウトっスよ…」
「いーじゃんけちー」
ビバリーったらいい子なんだから。どうすることも出来ず手でお手玉みたいに弄る。

「リョウさん、落としたら壊れちゃうかもっスからやめましょうよ」
「うー、つまんないのー……」

音。

「え?」

唐突な電子音に慌てて画面を覗きこむ、スマホの画面はさっきとは違って真っ暗になっている。
けれど電源が切れているわけではなく、画面がゆらゆら動いていることからして何か動画を映しているということが分かる。

「え、え、何これ」
「ちょっとリョウさんいじっちゃダメっスよ」
「いやいや、僕ほんと何もしてないから」

ビバリーが咎めるように言うけれど、ほんとに覚えがない。
もしかしていたずら?にしてもタチ悪い、心臓が口から飛び出るかと思った。

「偶然で電源入るって怪しっスよ、何かどっかのB級ホラーみたいじゃないっスか、なんか嫌な予感がひしひしと襲ってきますってやめましょうよ!」
「……えー、じゃあどうする?そんなに嫌なら代わりにこっちでも見る?」
言いながら画面を操作、動画を停止する代わりに個人フォルダを開く。
「結構危ない画像とかあるかもしんないし、うまくいけばお宝な画像も」
「それ普通に犯罪っぽいっスよ、ばれたら怒られるっス」
「普段から人のフォルダ漁ってるハッカーに言われたくないもん」
「ぐっ……」

説得しようとしつつも、なんだかんだ言ってビバリーも気になっていたみたい。
一緒に画面を覗き込む目は好奇心に満ちている。

 「…何これ?」
スクロールにつぐスクロール、見ている内に段々僕もビバリーも退屈になってくる。それも仕方ない。

 「一つ以外全部鍵がかかってますね」
 「ビバリーどうにかしてよ」
確かに見たいと思ったのは事実だけど、こう堂々と一つだけ前に出されていると
誘導されてるみたいで面白くない。
 「流石に短時間じゃ難しいっスよ。レイジさんのことだから分かりやすいやつにはしてないと思いますし…」
 「んー…じゃあ、まあいいや」
なんだかもやもやするけど、取り敢えず唯一見られるフォルダを開く。

「……え、何これ」
二度目。頭には疑問符が並び立っている。
「レイジさんってパーツマニアでしたっけ?それとも寝顔マニア…」
画像には男女混合の体の一部と寝顔。
「ロンのはさっきの鍵つきフォルダの中なのかな」
「でしょうね。全然見当たりませんし…僕達が知ってる顔がそもそも全くないですし」
ロンの可愛い姿は独り占めってことかな。

画面の中が妙に汚れている気がするのは、画面が汚れているせいだろう。

「ねえ、」

嫌な予感がするのも気のせい。

「さっきの動画に戻ろうよ。何かつまんなくなっちゃった」

動画がもっとヤバい物を映している、なんてこともきっと、気のせいだ。






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最終更新日  2014.09.26 00:26:45
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