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長押 綴

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2014.10.08
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カテゴリ:🔗少プリ



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「何、これ……」






トンネルはただ無機質にただ無感動に全てを呑み込む。












依然として周りは暗いけれど、もはやそれは不気味でもなんでもなくただの背景だった。

それくらい画面は異様なほど興味を誘った。

思っていたような過激な画像がなかったからか、
今度こそ何か刺激的なのがないかなって囁く悪魔の僕、対やめておきなよと囁く天使の僕。
結果、当然悪魔の勝利。好奇心は猫をも殺すなんていうけど野次馬根性には勝てない。

「ねえビバリー早く早く!」
「ちょっ、ちょっと待って下さいって」

観たい気持ち、プラス何かに引き止められるような逃げ出したいようなトイレに行く直前みたいな焦燥感からビバリーを急かす。なんだか底冷えしてるトンネルの中だってのに汗が止まらない。

『…ん……』

やがて音。ざりざりと何かを擦る様な音だけれど、多分誰かの声だ。
音が小さすぎて何言ってるんだか全然分かんない。

「…ちょっと小さいっスね、音量上げますよ」
「うん」

ビバリーの手で音量を上げられるスマホ。ここには居ない人の声が響くってなんか不気味。

『ん゛…とに…何もね…な、ここ…』


「……う゛っ!?」

暫くボソボソ言ってたくせに急に声を上げる、ふざけんな!

「ちょ、音割れ起こしてっ・・・音量下げて音量!」

話の合間にもキィンキィンうるさいし喋るのすら頭に響く、後で訴えてやると一人決意を新たにする。
やっとビバリーが耳を抑えながら音量を下げる、音を下げてもノイズは聞こえるけれど少しはましになった気がする。
どうにか画面を見る余裕もできたので落ち着いて見てみると、そこにもノイズが走っていた。

『じっ…キょぅ…の意味あ…のかな…」

「レイジったらスマホさえ喧嘩の武器にしたわけ?壊れる寸前じゃん」
「古い裏物のビデオみたいっス」

好き勝手に言い散らしていると、画面の中がまた何か変化を迎える。

『ん?』

「ん?」
思わず同じイントネーションで声を上げてしまう。
レイジ(仮)は何かを発見したようで、さっきの声の後数秒ほど砂音をバックに沈黙、沈黙、沈黙。


『……ダチだ』

囁くような言葉と唾をのみ込む音、何か不穏な空気。

『そーっと近づくから、ここからは映像だけになるぜ』

画面の僕たちに言い残して、そろりそろりと実況者はそのダチ、とやらに近付いていく。
暗くて手元しか見えないせいでぼんやりした影は小さくて小学生くらいだってくらいしか分からない。

「…ロン?」
「んー…です…よね…?」

ロン(仮)はひたひたと近付く奴に警戒心を剥き出しにして、あっちこっちに懐中電灯を向けている。
影しか見えないけれど、その必死さにこの間からかった時のロンを思い出す。

『……』

けれど見付かる筈の相手が巧妙にそれをかわしているせいか成果は上がったり、可哀そうに。
その間にもどんどんスマホは懐中電灯の元に向かっていく。

『なあ』
『―――っ!』

やっと声をかけられて画面の向こうに伝わるくらいに盛大に体をはねさせるロン(仮)。
でもレイジがそう言う瞬間まで気付けなかったからか、それともレイジへの単純なイラつきか即座に驚きは怒りに代わる。

『なんだよ、お前かよ!なんで声かけねえんだよ、不審者だって思ったじゃねーか!』

『あはははは、びっくりした?』
『ふざけんなてめえ…っ!』


「……楽しそうで何より」

全く、何ともないじゃないか。

「レイジさんも人が悪いっスね」

画面の中からは、まだ楽しそうな声がノイズ混じりで響いていた。


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かなり間空いてしまいましたが続きです。

マルチエンドになるかもしれません。





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最終更新日  2014.10.08 19:02:32
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