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長押 綴

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2014.10.22
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カテゴリ:🔗少プリ



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 医者か役者か、それが問題だ。



 目の前には二つの台本。

 これらは文化祭で僕達のクラスが発表する劇の候補だ。

 二日前提案された、手塚治虫の作品を劇の題材にしようという案から、別のクラスだというのに手塚治虫が関わると黙っていられないヨンイルが寝る間も惜しんで書き上げたものだ。
文化祭の投票では対抗するというのに自分のクラスを放っておいて悠長なことだと言えば、「後で見に行く時に劇があんまりな出来になっていたらと心配で気が散ってまう、もし他の誰かが書くんやったらようけ顔突き合わせながらやるから時間かかるで」とまで宣ってきた。

 そもそも文化祭の出し物で劇をやろうと決めたのがあまりにも遅かったため、文化祭当日から逆算すれば本当に限界まで切り詰めなければ間に合わない。
 渋々了承し、大まかに言えばブラックジャックと七色インコの二つをー細かく言えば、更にその中の、何話がいいかを指定した。
 嬉しそうなオタクとしての本能をむき出しにした彼は、通常の人間なら一週間はかかるのではないかという量を一日半で完成させた。
 授業中も書いていたと聞いてそこまでしなくてもいい勉学を優先させろと言いたくなったが、思い返してみれば彼は実験や興味のある歴史などの授業以外ではいつも漫画を読んでいた。
 また、一応助けられたことは事実であるため、強く言うことはできないがやはりそれでいいのかと問いたくなる。

 いや、ヨンイルのことは今は置いておこう。
 取り敢えず今は目の前で火花を散らせるブラックジャックを演じたいと主張する派閥と七色いんこを推す派閥の収拾をつけることが重要だ。

 争っている時間はないと一喝したいところだが、僕自身が七色いんこを支持しているという中立でない立場のため眉間に皺を寄せることしか出来ない。

「なあ、鍵屋崎。二つのチームに分かれちゃ駄目なのか?」
「……確かに、それが一番平和的な解決手段だ。だが、作らなければならない道具やセットが増えてしまう上、一話あたりの時間を短くすることが必要になる。出来れば避けたい」

僕だって、出来ればロンの言う通り両方が実現したところを見たい。だが、矢張り時間が材料が予算が絶対的に足りないのだ。

「…もういっそ休憩所担当になったとことか暇してる奴に片っ端から声かけて手伝ってもらうとかはどう?お返しに食券とか渡してさ。」
話し合いと言う名の言い争いに加わらず、半眼で様子を眺めていたリョウが言う。
「提案としては悪くないが、買収の予算はどこから出すつもりだ」
「えー、クラスの予算か安田っちのお財布」
「おい」
ロンが突っ込みを入れるが、しかしリョウの提案したもの以外では寄付を募るか、謝礼を無料で賄えるものにするぐらいしか方法がない。
「……しかし、謝礼はともかく、クラス投票としては成立しないだろう」
「もうクラス投票に参加しないってのは駄目なのか?」
「それじゃ賞金ももらえないじゃん」
クラス投票。これで上位になったクラスには賞金が渡され、quoカードの形式でクラス全員に分配されるため、これだけの為に頑張る生徒も少なくない。

「……作るもんが多いのが問題なら、おんなじようなもん使える話を選べばいいんじゃねーの?」
「それも考えてはみたが、画面が単調になってしまうだろう。それに、人気の高い話でもいくつかが自然と候補から降りてしまう」
「そう?要は見せ方の問題でしょ」


「ああ。見せ方の問題や」









かくして、欲求を詰め込めるだけ詰め込んだそれが幕を開けた。
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ガ●スの仮面の海賊と王女のように、複数の見方の出来る道具とか





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最終更新日  2014.10.22 23:45:11
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