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カテゴリ:🔗少プリ
俺はいつの間に寝てたんだ?
誰かに揺り起こされてうんうん唸りながら起き上がると、頭上から不機嫌そうな声がかかる。 「悠長なことだな。こんな事態になっているというのに、気持ち良さそうに眠りこけているとは」 「……鍵屋、崎?」 そのお堅く偉そうな口調はどう考えても鍵屋崎のもんで、しかも何でかわからねえがお叱りモードに入ってやがる。妙に高い声が怖い。身に覚えがないし頭はくらくらするしで眠る前のことなんて全く記憶が追いつかない、どうしろって言うんだ。 「そうだ、君と同じイエローワークで働く鍵屋崎直だ。それが分かったことについては君の察知能力を認めるが、そろそろ呆けていないでもう少し現状把握をしてくれないか」 「事態って、何が?」 俺の声も妙な調子に聞こえる。まるで声の出し方を忘れたみたいに途切れ途切れに声が出る。だけどまあ声を出すことは後回しにすべきだろう、鍵屋崎が何をまた気にしてるのか分からねえが、どうせ本が粗末に扱われただとか誰かに拉致されたとか……拉致!? 「俺達またどっかに手錠で繋がれてんのか」 「違う」 即答かよ。結構自信があっただけに、そう言われちゃさらに混乱するしかない。 またサーシャ辺りに誘拐だの拉致だのされたのかと思ったが違うらしい。だったら何だ?朦朧とする頭で天井を見上げるが、そこはいつもと変わった様子はないし腕は重いがそこに鎖なんてついちゃいねえ。 「……まだ気が付かないのか」 そう言ってため息を吐き俺の前に立ちはだかった影は――― 「リョウ?」 誰かと誰かの●日間 「やっと分かったか」 「いや、リョウお前何してんだよ、鍵屋崎の口真似なんかして。鍵屋崎にばれたら怒られんぞ」 「僕は低能がそんなことをしていても怒るほど沸点が低くない。というか僕が鍵屋崎だ、いくら凡人といえどそろそろ理解してくれないと困る」 「……」 そうだ。このつんつんつっついてくるような微妙にむかっとさせる言い方は鍵屋崎のものだ。いや、だが何がどうなってるのかいまだに理解しきれない。いくらなんでもありえないだろ、心が入れ替わるなんてこと。確かにそんな状況はヨンイルに借りた漫画とかで見たことがある、だけどそんなことが本当にあるだなんて思えねえ。鍵屋崎の姿したリョウが何かやってんならともかく、目の前に居るのは本音言ってるのか嘘言ってるのか分かりにくいリョウだ。どうせまた騙されて笑われんじゃねえかと疑いは晴れない。 「……仕方がないな。これを見れば君も信じるだろう」 そう言ってリョウもとい自称鍵屋崎は俺を急に引っ張り起こす、何がなんだか分からないうちに俺をぐいぐいと引っ張りずんずんとどっかを目指して歩いていく。 「何だ、何する気だ!?」 わけが分からないまま叫ぶが、自称鍵屋崎はいつも鍵屋崎が切羽詰った時にしているようにきつい顔をしているだけだ。 「……その顔で喋るんじゃない。不愉快だ」 そう言って自称鍵屋崎が連れてきたのは、ガラスの前。 そして。 「……は?」 目の前には、顔を間抜けにぽかんと開いた鍵屋崎の顔があった。 ![]() -------- ---------------- お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.11.05 14:22:52
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