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長押 綴

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2014.12.03
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カテゴリ:.1次メモ
彼には素晴らしい兄が居た。
兄は何でも教えてくれた。
だから兄に聞けば間違いないと思っていた。
兄もそんな彼の事を愛していた。
けれど兄にも分からないことがあった。
兄は打ち出の小槌、フーディーニの魔法の杖だと思っていた。
なのに兄はそうではなかったのだ。
彼は兄を信頼も信用もしなくなった。
現金な事情でしか繋がっていなかったのだから当然と言えば当然の話だった。
兄は戸惑った。唐突に素直な弟が言うことを聞かなくなったのだ。
けれど弟の言葉の端々に自分の影響が見える事を見て、溜飲を下げることにした。
一方弟は地獄を味わっていた。
彼の信じてきたあらゆる魔法が解けていったからだ。
自分は騙されていたと思った。
幻想に戻りたいと思う時も。
けれどここで戻ったらまた同じなのだ。
彼は兄以外の沢山の人々と繋がり始めた。
沢山の話を聞き、そうして自分もたくさんの人々に話を始めた。
弟の変化に兄は狼狽した。
兄はいっそ弟から自分が影響を受ければいいか、そうしたら楽かと思いはじめた。
弟はそんな兄を止めた。
「互いに違う視点の方が支え合えるだろう」

こうして二人は、十二時の魔法が解けても、それぞれの違う世界から手を延ばし、握手をするようになった。



*****


元ネタがどこかは想像にお任せします





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最終更新日  2016.11.19 22:53:04
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