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カテゴリ:🌾7種2次裏
引き続き安居視点
![]() 月を見ると何かを思い出しそうになる。 水の流れが強いと頭が痛くなる。 炎を見るとひどく懐かしくなる。 太陽の強い光は僕の白い髪と似ている。 ちょっとした穴を見ると何かの影が過る。 ……それはきっと、未来の僕の記憶だ。 僕はずっと大人になりたかった。 子供で居る楽しみも知っていたけど、それでも卯浪より強くて、要先輩に何かを教えられるくらい賢い人になりたかった。 それなのに、穴の中に居るそいつは暗い顔色で焼き付くような眼の色をしてこちらを睨んでくる。 あいつは僕じゃない。 僕はあんな風にはならない。 だってあんな奴が僕の未来だと認めたら、僕がそうなる可能性を持っていると認めたら、踏み出せなくなってしまう。 だから僕は今日もそいつに土を被せて、見ないふりをする。 食べ終わった骨も。 貝殻も。簡単な畑の種も。火の跡も。 その隙間から覗く、何を考えているのかわからない昏い目も。 全て、黙って埋もれていく。 2018年03月18日 01時55分36秒 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.08.01 21:44:24
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