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カテゴリ:◎2次裏書
亡くなった恋人に似た、儚い恋人ができたのは二年前のことだ。
俺は恋人を今度こそ守りたかった。 それなのに恋人は自傷と自虐を繰り返す。 俺と自分が不釣り合いだ、一緒に居ると汚してしまうと言って憚らない。 だから。 「……」 「…ただいま」 おかえり、と言う声はない。 薄暗い部屋、暗い目がこちらを見て光を宿す。 駆け寄る足音も、伸ばす腕もない。 全て奪ったから。 奪わないと、恋人は自分の命を、心を、傷付け続けると思ったから。 「……」 最後に自虐ばかり繰り返す舌を奪おうとした時、恋人が言っていた言葉を思い出す。 「汚れ仕事をさせてしまったな」 とんでもない。 最早何もできない恋人を守り、助け、愛し続けるのは深く尊く、美しく、どこまでも正しい行為なのに。 そう言うと恋人は笑った。 そうか、だから君は汚れないんだな、と。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.04.22 18:38:23
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