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彼はいつも、二日三日と明けず連日私の部屋に花を持って訪れる。
それは私が入院しはじめた小学生の頃から変わらない。 一番最初は私の育てていた朝顔の鉢植えで、鉢植えは演技が悪いのだと怒られていたっけ。 それから段々と彼は花や花言葉について詳しくなりはじめて、今は立派なお花屋さん。 花言葉は、自宅で眠れるようになってから調べて、赤面した。 その時に付き合い始めたんだったな。 不器用な彼は花を入れ替えるまで無言で、話の準備をしている。私を傷付けないように、出来るだけ残りを楽しく過ごせるように。私はそんな彼が大好きで、そして少し悲しかった。 けれど最近は、私にろくに声を掛けることもなく俯いたまま、踵を返し帰ってしまう。 私の現状が、余りに見ていられないのだろう。 そんな彼を薄情だと、もう一人のお見舞客は言う。 私は彼の剥いてくれた彼の持ってきた林檎を食べるのに精いっぱい、この体の動かし方が分からないから。 このままだと消えてしまうかもしれない。君はもっと動いて、自己主張をすべきなんだ。 林檎の彼はそう言うけれど、忘れられるのもそれはそれでいいのかもしれない。 忘れられて、消える。元々彼しか私には居なかったのだから、彼を幸せにすることが私の幸せだったのだから、そうすることで花の彼が幸せになってくれるのなら。 けれど臆病で、良い人になんてなれない私は、今日も彼のお参りを透明な体で待ち続ける。 ***** この後乙女ゲーだったら林檎の彼(幽霊仲間)(お隣さん)についていくか花の彼をずっと待ち続けるか選ぶ所。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016.08.14 09:52:52
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