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気を使って気を使って気を使ってやっと頂点に君臨している。
気を使わず誰にも認められず誰にも縛られず最底辺のあいつを見下す権利が僕にはある。 だからあいつの一挙一動を僕はとらえて否定にかかる。 「お前の方が俺に振り回されてるよな」 そういうそいつを何度も何度も打ちのめした。 その暗く沈んだ背中を踏みつけることだけが満たしてくれた。 動かない事実を、そこに人を捉えることを、僕は愛していた。 どうせ法則の中でしか生きられないのだから、がんじがらめに縛れば縛るほど世界は生きやすくなる。 そうでなくてもかまわないと象徴する存在は、力づくで捻じ伏せて捉えればいい。 そう、思っていた。 社会に出たら、僕は几帳面なだけの代わりの効く人間とされた。 あいつはその破天荒さで、いくつもの人のピンチを救っていた。 現代のヒーローとしてテレビで放映されるそいつは、僕より余程人に気を使っていた。 僕が気を使う所を気にしない癖に、僕がどうしても拘れない所を守り抜いていた。 負けたな。 認めるよ。 昔とは少し変わったカーストの中、僕は彼をこの偏執的なまでの几帳面さで支えようと決めた。 その間僕の右手は昔のように彼をぐりぐりと嬲っていた。 右手が勝手に描く綿密な彼は、僕がいくら詳細に一瞬を写し取ろうとしてもそこに捉えられることなくぼやけたままだった。 彼が大怪我した。 動くこともままならない。 そんな噂が耳に入って、僕が抱いたのはー 強烈な歓喜だった。 つづく ************************************* 多分BLです。 主人公→細かい事がとても気になる几帳面系男子。人に尽くすことで安心感を与える。そのうち「彼」の活躍を支える機構を作る。 「彼」→おおざっぱで豪放磊落だが人に安心感を与える。カリスマ性があってややせっかち。人を助けて大けがを負い、主人公に身体の機能を補う機械を作られることになる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.05.21 17:11:17
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