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テーマ:二次創作小説(943)
カテゴリ:🌾7種2次表
大事なものはいつもほんとは近くにある。
それを外では、青い鳥のようだと言うらしい。 * 小さい頃からずっと一緒だった。 一緒に居て、大事な時はいつも守ってくれた。 だから自然に好きになった。 繭ちゃんやのばらちゃんにからかわれて、 あゆちゃんにやきもちを妬いて、 茂や涼くんに見守られて、 要さんに問題攻めにされて、 先生達の理不尽にむかついて、 くりくり同盟で集まって、 そんな日常の中で、恋心は育っていった。 あゆちゃんを想う安居の姿を見る度に、恋心がじくじくと痛んだけどー その時は確かに生きてた。 痛みを感じられるくらい、恋心は息づいていた。 赤いもので全て塗り潰された。 「あいつ一晩中叫んでいたが」 安居がずっと隠していた、あたしたちの為に秘密にしていたことがぐちゃぐちゃと溢れだして 「一皮剥けて強くなったよ」 同時にあの時安居が外の世界の滅びを願った意味を知る。 だからあの瞬間に恋心は死んだ。 怒りと哀しみと殺意の為に他の全てが燃え尽きた。 ーきっと、安居もそうだったんだと心のどこかで想った。 * 繭ちゃん達の仇を討ったあの後。 あたしも、茂の仇を討った安居もふらふらとしていて、そんなあたしたちを涼くんは心配してた。 大丈夫なのに。 何年も身体に染みついた生き方が今日もあたしたちを生かすんだから。 あたしたちはそれでも使命の為に生まれてきたんだから。 そんな時に、あの音に遭った。 * ぽふと、軽い音が頭上から聞こえる。 未来に来て、ぽっかりと空いた焼け焦げた穴を、柔らかな安居の声が通り過ぎる。 昔なら嬉しかった。 照れて、恥ずかしがって、それでも元気になったその笑顔が、今ではあたしの心と同じでぼろぼろで必死に残った残骸に見える。 愛おしくない。憐れで、情けなくて、惨めで、大事なものを喪って。 先生達の都合に負けた姿。 「どうして先生達にされたことをできるの」 ーそれでも、大事な部分は変わってないと思ったのに。 「されたから出来るんだ」 言葉が出てこなかった。 もう、何も残ってない。 あの頃の安居は、もう居ないんだ。 もう、戻ってこないんだ。 あたしが何を言っても、きっと届かない。 あたしのせい? あたしが外の世界の人と関わったから? そうしなければ安居はまだ、ぼろぼろでもあの仲間にだけ見せる姿を保っていられたの? 「小瑠璃」 ううん 「後悔しないで」 違うよハル あたしはここに残ったことを後悔してなんかない 気付けたかもしれない 止められたかもしれない 誰に言ってもどうしようもない事を後悔してるだけ ふわふわと ふわふわと あたしはやっぱり間に合わないんだと思うだけ。 あたしの青い鳥は死んでしまった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.08.24 17:17:04
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