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カテゴリ:.1次題
妹は生まれながらに体が弱くて外に出られなかった。
だけどきっとそっちの方がよかった。 体が強かったらきっと僕のように家庭の都合に振り回されていただろうから。 僕達は極道の家に生まれた。 妹はそれも知らない。 刺激を与えると具合が悪くなってしまうからだ。 母も父も敵対勢力に殺された。 妹はそれも知らない。 元々両親ともに殆ど見舞いに行かなかったからだ。 外の世界の汚いものを見るたびに、妹の所へ逃げ込む僕を、妹は歓迎する。 汚い金で買った花束を喜んでくれる。 ぼかして言う苦労話を感心して聞いてくれる。 全知全能を神様と人は言う。 知らないでいる、能わずにいることは仏様だと僕は思う。 白紙に咲いた偽物の僕を、今日も妹は抱きしめてくれる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.10.31 23:21:10
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