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ニャトムホフは村の少女、キニャンの事が好きだった。
淡い初恋である。 初恋の詰まった風船は素直で元気なキニャンを見る度に膨れた。 人と関わるのが苦手なニャトムホフにキニャンが絡んでくる度に膨れた。 同様に人づきあいが苦手な子にキニャンが構っている度に膨れた。 キニャンを見る度に膨れるこの風船を、ニャトムホフは持て余していた。 そんな時、ニャトムホフ達の村、ニャエリアに余所者がやってきた。 余所者、ヌワルディの一族は他の地域で迫害されてきたそうで、他の地域の者は恐れて近寄らないニャエリアが唯一の拠り所なのだと言っていた。 ヌワルディ達は、ニャエリアの閉鎖的な空間で育った歪な価値観も、孤立した地域かつ原始的な暮らしをしているがゆえの死生観も、ニャエリア独特の内臓のような赤い目も恐れなかった。 キニャンは、そんなヌワルディの娘の一人、幼いミルの面倒を見ることにした。 同じ村でさえ人づきあいを殆どしないニャトムホフには理解が出来なかったが、そんなニャトムホフを面白がって、一つ下の少女、ミャルディがくっついてきた。 「根絶やしにしろ」 そんな時だった。 「奴等のものは全て我らのものだ」 外の者がやってきたのは。 【続】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.11.30 23:51:19
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