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長押 綴

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2017.12.08
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カテゴリ:.1次題
わたし自身はぼーっとしてるのに、体の奥の方がものすごーく熱くなることがある。

『早くしろよ千晴!』

 おねえちゃんの声だ。

 もうすぐ夏休みが終わっちゃうのに宿題が終わってないからやれやれってうるさい。

 そんなに言うならおねえちゃんがやってくれればいいのに、おねえちゃんはわたしに声しかかけられない。しかも勉強のアドバイスすらろくにしてくれないから本当ただうるさいだけだ。


 おねえちゃんはあたしの双子のおねえちゃんだ。
 あたしが生まれる前に吸収してしまったから、今はあたしのおなかと頭にちりぢりに住んでいる。

 おねえちゃんの頭の部分はおねえちゃんのおなかにだけ作用していたから、おねえちゃんはあたしごしにしか世界に触れられない。
 だけどあたしに包まれたおねえちゃんはどういうわけか熱い血を流してあたしを急かす声をかけることだけはできるみたいで、今日もあたしはそれに振り回されないためにぐだぐだしているのだ。

『あんたがぐだぐだしたいだけでしょ』
「うるさいなぁ」

 小さいころは自分の気持ちの問題で幻聴や幻の温感があるだけかもと思ってたのに、親にそれを相談したら何故か異様に喜ばれて困惑してしまった。


おねえちゃんは血液と少しの感覚と気持ちだけ持ってて、勝手に命令すれば日々生きていけて、わたしは要らない感覚もめんどくさい手足も持ってて、どうして逆じゃなかったんだろうとよく思う。

わたしの子供はおねえちゃんの子供かもしれない。
わたしの情動はおねえちゃんのものかもしれない。

わたしは今すぐに全部の血を抜いて入れ替えたいくらいには、おねえちゃんが嫌いだ。





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最終更新日  2018.12.04 18:36:07
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