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カテゴリ:.1次題
夢で見た話。
中途半端な所ではじまり中途半端な所で終わります。 ************* 俺達はエイリアンと戦っていた。 そいつらは黒く柔らかく、時に鋭く固くもなれる物質でできていて、そいつらによって一時俺達のすみかは奪われてしまった。 うちのマッドサイエンティストが言うには、エイリアンの脳はそんなにないが、何かを取り込んでは都度それをまねするとのことだった。 俺達が取り込まれたらおしまい。 姿を直に見られてもまずい。 苦戦を強いられた。 だが俺達は必死に抵抗した。 マッドサイエンティストとその弟子だけはやりがいがありますねぇと笑っていた。 彼らの努力もあり、俺達は大きな壁を作ってそれごしに抵抗を続け、沢山の犠牲をはらいながらもエイリアンを倒した。 凱旋だ。 俺達の故郷へ帰って来た。 浮かれて、白くて柔らかく弾む床の上を歩く。 子供達の為につくられた場所だ。 懐かしさを覚えながら歩いて行く。 ぼろぼろになっている。俺達の銃と侵略者の針でずたずたになった場所をどうやってもとに戻そうか思案しつつ歩いていると、見慣れないものがあった。 鏡。 まずい、と本能的に思い走った瞬間、後ろから貫かれた。 「あっ……ぐぅ……」 見下ろすと、何百と言う鋭い針が体中から伸びていた。 その針は俺があるくごとに抜けていくが、何故か黒いねばねばしたそれはいつまでも穴をふさぎ続けていた。 振り返ると、沢山の俺に似た黒っぽいかたまりが鏡から出てきていた。 真っ白だった俺達の世界がそいつらで侵略されていく。 「ぐ…がぁ……」 伝えなければ。 仲間にこのことを言って、対策してもらわなければ。 ぼよぼよとした地面の上を歩く、次第にその地面に出来た凹凸の用途さえ分からなくなっていく。 穴だらけの建物の壁に辿り着く。 ここは半分あいつらに侵略されてしまった。 俺も半分あいつらに侵略されてしまっているのだろうか。 今歩いているのは本当に俺の意思なのか。 仲間に近付いたら俺は爆散でもして、俺の中に潜むエイリアンが仲間に牙を剥くんだろうか。 そうしたらマッドサイエンティストたちは喜ぶだろうか。 歩く俺の視界が徐々に黒くなっていく。 視界を拭う手、それさえも黒くなっていっているのに気付き俺は絶望した。 それでも歩む足は止まらず、建物の外に出そうになる。 踏ん張って手を壁につくと、ぬちゃりと潰れた。 ああ、そうだ。 いいことを思いついた。 手を壁に押し付ける。 壁の穴に黒が染みていく。 『かがみからくろいのがきた』 『かがみをこわせ』 『るい』 それだけ鏡文字で書く。 すると、俺の偽物たちはいっせいに建物に同じ言葉を書き始めた。 その後倒れる俺にも付随する偽物たち。 辛うじて黒く染まっていなかった銃を喉に突っ込む俺。 それさえも律義に真似をする偽物たちを見て薄く笑った。 特性の、マッドサイエンティストが造った弾丸だ。 俺にもきっと効くだろう。 引き金を引いたコンマ数秒後、体が爆散していくのを感じる。 俺達の故郷を、また手にしてくれと願いながら。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.12.19 16:05:22
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