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カテゴリ:.1次題
ざくざくと、野菜を切り刻んでいく。
すいすいと、肉を切り裂いていく。 ぐちゃぐちゃに粉類を混ぜ合わせていく。 ぐらぐらと鍋で煮込んでいく。 料理のいいところは、こうして何か考え事をしながらでも、確実に目の前の物事は進んでいくことだと思う。 仕事や人間関係だとそうはいかない。 考え事の中の狂気や苛立ちが確実に尾を引いて、脳内から現実に溢れてしまう。 「できましたよ」 「遅い」 「すみません。めしあがれ」 「…いただきます」 料理は溢れない。 きちんと肉汁とともに怨念が染み込んだ、それらを彼は食べ尽くす。 にこにこと見詰める私の笑顔の意味を、彼は一度も訊かない。 どうせ興味もないのだろうけど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.01.31 19:51:46
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