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長押 綴

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2018.05.05
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カテゴリ:.1次題
昔からチャンスがあれば飛びついてきた。
同時に不安なことがあれば逃げ出してきた。
可哀想な人が居れば走り寄った。
助けてくれる人が居れば擦り寄った。

物事の全てに俺は素早く飛びついた。
じっくり考えていたらいいものは取られてしまうし、逆にわるいものは全て押し付けられてしまう。
そんなのは嫌だから俺は耐えなかった。

無理して我慢して壊れるのはまっぴらだった。

同時に俺の周りに居る人に無理して我慢しなくていいと言った。
俺をいつ見捨ててもいいと言った。
こんな俺の近くに残るなんて悪趣味だとか、余程我慢強いか鈍いのだなと思っていた。

何度も切り捨てた。
何度も切り捨てられた。

走り続ければ新しい世界が拓けるから何を切り捨てても何に切り捨てられても平気だった。

けれど次第に歳を取って走れなくなってきた。
齢を重ね、周りを見渡すと傷の舐め合いや媚びは温かく優しい絆に育てられていた。

俺のもとにはちっぽけで孤独なプライドと、ただ真上に飛んでは何も得られず下に落ちて来る骨しか残らなかった。





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最終更新日  2018.05.21 23:59:12
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