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その種は、もしかしたら博士になれるかもしれない種だった。
その種は、もしかしたらアイドルになれるかもしれない種だった。 その種は、もしかしたら先生になれるかもしれない種だった。 けれどその種は、そのすべての可能性を捨てて火にかけられることを選んだ。 悪魔が言ったのだ、そうしたら残りの種の安全は保障してやろうと。 種は意識を失いながら、生まれ変わったら今度こそ、次の姿になって死にたいと思った。 * 種が目を覚ますと、種は人間になっていた。 どうやら種を火で炒って食べた人間の体に居るようだった。 ともに食べられた仲間たちもそこに居た。 ともに人間の体と心を構築していた。 種たちはそれによってやっと、夢見た何かになる手足を得た。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.08.31 04:13:27
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