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「立て。このくらい平気だろう」
そう言われ暴力に晒されてきた姉は、 「大丈夫、この程度大したことじゃない」 そう繰り返しながら大きくなった。 「立ちなさい。このくらい平気でしょう」 現在彼女はそう言いながら彼女の娘を殴っている。 彼女の耳は片方殴られたせいで聞こえづらくなっている。 彼女は自分を普通で当たり前で頭がおかしくないということにしている。 けれど僕のことや彼女の娘を機嫌が悪い時はキチガイと呼ぶ。 きっと彼女自身が何度も言われてきた言葉なのだろう。 自分がまともでいるために、対立する立場の人間を「キチガイ」にしなければ気が済まないのだ。 僕は彼女を助ける方法を知らない。 僕よりずっと矢面に立ち育ってきた彼女にせめてもの借りを返す為、その言葉の暴力を受け、彼女の娘を彼女から守り続ける毎日だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.11.27 15:24:40
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