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南包

南包

2007.11.02
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カテゴリ:本・読書
朝日新聞の朝刊に連載の名物コラム、「折々のうた」の『新折々のうた 総索引』が出た。『新折々のうた9』と同時刊行である。

『折々のうた』は正・続そして3から10までとその「総索引」続いて『新折々のうた』が1から9までとその「総索引」までで、全21冊ある。

その、『新折々のうた総索引』から。そのカバーに、朝日新聞の連載は、足かけ29年とある。

どのように、この長寿コラムを大岡信が書き進めたかの話が、【“折々のうた”と連句の骨法】という、1980年(昭和55年)5月13日の富士通における講演が採録されている。その中で、大岡は

朝日新聞の依頼で、この「折々のうた」をやることにきまったとき、私は日記帳を活用したら、日々の歌や詩のつながりが見通せるのではないかと、ふと思いついたのです。

一日一日歌や俳句、詩を出していくわけですから、バラバラに出している感じに当然なるわけです。しかし私自身としては、きょう出した俳句なり短歌は、あした出す短歌や俳句と、どこかでつながっているのが望ましい。たえず、内容的にあるいは内容以外のものでもいいんですけど。何かでつながっているところがほしい。

「折々のうた」を選び並べる私の方法は、実際に句を作ることと、すでにある歌を選ぶということとの違いはありますが、やり方は連句のでき上がっていく過程と似かよっていると思います。

きょう非常にまじめなものが出たら、次の日にそれをひっくり返すようなものを出す、というかたちで、いってみればつなげている。対立するものが、対立という意味でつながる。同質のものはもちろん素直なかたちでつながっている。そのほかさまざまに試みます。


と、帯に書いてあります。

そして、『折々のうた』の26pから29pまでの8つの例を取り上げて説明しています。
その8つとは、

ももづたふ磐余(いはれ)の池に鳴く鴨を今日のみ見てや雲隠りなむ 大津皇子

辞世の歌、臨終詠。「雲隠る」とは死ぬこと。その死にかけて、
次は

ぜんまいののの字ばかりの寂光土 川端茅舎

の寂光浄土を持ってきた、
次は寂光浄土という極楽の春から

春風や鼠のなめる隅田川 小林一茶

の江戸の春に。
隅田川は横に流れている。
だから、次は縦のものということで

朧夜のむんずと高む翌檜(あすなろう) 飯田龍太

を持ってきた。
アスナロは野山にある木だ、だから
次は

しみじみと田打ち疲れしこの夕べ畔(くろ)をわたれば足ふるひけり 結城哀草果

この田から種子というものに連想がいき、

ものの種にぎればいのちひしめける 日野草城

になるわけです。
命がひしめくのは何も植物に限らない。動物にも命がある。

相触れて帰りきたりし日のまひる天の怒りの春雷ふるふ 川田順

となるわけで、男と女の命のやり取りです。

しら露も夢もこのよもまぼろしもたとへていへば久しかりけり 和泉式部

と、続きます。


この、連句的味わいが、大岡信が「折々のうた」で試みていることです。

だから、これよりあれのほうがよい句、よい歌よい詩ではないかと、考えたり人から言われたりもするが、この連句的つながりこそを考えれば、大岡の取った詩句が今回はよいのだと思えると、大岡は言っています。

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新折々のうた 総索引
大岡信 編
岩波新書(新赤版)1102
2007年10月19日 第1刷発行


200711031225000.jpg
折々のうた
大岡 信著
岩波新書(黄版)113
1980年3月21日 第1刷発行
1980年5月10日 第3刷発行







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Last updated  2007.11.03 14:44:21
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